根域制限裁培ぶどう「巨峰」の垣根仕立てによる軽労働・省力効果

タイトル 根域制限裁培ぶどう「巨峰」の垣根仕立てによる軽労働・省力効果
担当機関 栃木県農業試験場
研究期間 1999~2000
研究担当者
発行年度 1999
要約 ぶどう「巨峰」の垣根仕立ては、根域制限により副梢の生育は抑制される。軽労化と作業能率の向上により、棚仕立てに比べせん定は約20%、摘粒は約30%の省力になるが、新梢管理に 2.6倍の時間を要するため、総労働時間では約10%の省力である。
背景・ねらい ぶどう「巨峰」の棚仕立てでは、常に腕を上げて作業するため両肩、両腕への負担が大きく、せん定作業は高度な知識と経験が必要である。栽培者の高齢化、婦女子化が進む昨今、軽労化、省力化をねらいとして、作業部位を低くした垣根仕立て裁培が注目されているが、強勢になりやすい黒ボク土壌での適用は困難である。そこで、根域制限裁培を取り入れた垣根仕立てでの裁培を行い、軽労化と省力に及ぼす影響を調査した。
成果の内容・特徴
  1. 垣根仕立ては、うね間3m×株間3.5m、培土量150Lの盛土方式の根域制限裁培とし、地上約100cmで主枝を分岐し、結果枝は、V字状に斜め上方に誘引する(図1)。この裁培法により、5年生樹で棚仕立ての成園とほぼ同程度の収量を得ることができた(表1)。
  2. 根域制限裁培により副梢の生育は抑制されるが(表1)、新梢管理の労働時間は、棚仕立ての約2.6倍を要した(表2)。
  3. 垣根仕立てでは、早期から着房数が制限されるので、着果管理全体の労働時間は、約30%短縮された。特に、房つくり、GA処理で省力効果が大きかった(表2)。
  4. 10房当たりの処理時間で見ると、房つくり、GA処理は、房が見えにくいため棚仕立てより多かった(表2)。
  5. 摘粒作業は、棚仕立てより作業負担が軽減され、作業能率が向上し、10房当たりの処理時間も約16%短縮された(表2)。
  6. 袋かけ、収穫は、次の果房への移動距離が短いため、棚仕立てより効率的であった(表2)。
  7. せん定作業は、樹形が単純でわかりやすいため労働時間が約20%短縮された(表2)。特に裁培経験の少ない作業者でより顕著にこの傾向があらわれた。
  8. 以上のように、根域制限した垣根仕立ては、総労働時間では、約10%の短縮であったが、技術習得の難しいせん定や労働負担の大きい摘粒作業では、効率化と単純化により作業能率が向上し、省力化された。
成果の活用面・留意点
  1. 根域への水分の移動がないので、毎日潅水する。その際、果実肥大期はpF1.7、開花期と着色期以降はやや乾き気味に管理する。
  2. 1樹当たり年間窒素成分で50gを休眠期にロングタイプの固形肥料で施用する。その他の成分については、培土の分析値に基づいて不足分を補う。
  3. 結実状況が労働時間に影響するため、結実状況を同一にする目的で、両処理区にフルメット液剤を加用したGA処理を行った。
  4. 技術の普及のために、より効率的な新梢管理法の検討、経費試算が必要である。
図表1 216030-1.gif
図表2 216030-2.gif
図表3 216030-3.gif
カテゴリ 肥料 くり 軽労化 省力化 ぶどう

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる