日本なし「豊水」の側枝の形態がせん定作業時間に及ぼす影響

タイトル 日本なし「豊水」の側枝の形態がせん定作業時間に及ぼす影響
担当機関 千葉県農業試験場
研究期間 1997~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 日本なし「豊水」では、直径2cm程度の太さまでの側枝を用いることにより、1果重を減少させることなくせん定作業の省力化が図れる。側枝の肥大の抑制には、側枝上の短果枝を少なくし、長大になりそうな新梢を芽かきまたは摘心により除去する。
背景・ねらい 日本なしの誘引や新梢管理を含めた整枝・せん定に要する労働時間は、全労働時間の22%と最も多いが、その時期は12月から3月までと長期間に及ぶため、日労働時間としてのピークは小さい。しかし、熟練を要する作業であるため、経営主など特定の人が行うことが多く、作業強度は強い。そこで、せん定の省力・軽労化を図るため、枝の太さとせん定時間、収穫量、1果重との関係について検討した。
成果の内容・特徴 供試樹は折衷式棚仕立ての15年生(1996年時点)「豊水」を用いた。せん定は、九寸剪定鋸K-2型(丸源鋸工場製)と長さ180mmの剪定鋏(岡恒製)を用い、経験年数10年以上の熟練した40歳代の男性が一人で行った。
  1. 側枝、新梢とも2cm程度の太さの枝までは、せん定鋏で切除することが可能であり、それ以上太い枝の切除には鋸を用いる必要がある(表1)。
  2. 側枝から発生した新梢の切除に鋸を用いる必要のある側枝は、鋸を必要としない側枝より、基部の直径は2.94cmで約1cm太く、新梢の発生本数は8.31本で約3本多く、せん定に要する時間は、29.6秒で、約17秒長いが、枝齢は同程度である(表2)。
  3. 側枝当たりの収穫量は、側枝直径及び側枝長と有意な正の相関がある。平均果重は、側枝直径及び側枝長とは有意な相関がない。また、側枝直径と側枝長とに有意な正の相関がある。このことから、細い側枝でも小玉果とはならないが、細い側枝ほど側枝の長さが短く側枝当たりの収穫量が減少する(表3)。
  4. 側枝基部直径の年間の肥大量(y:cm)は、次の重回帰式(R2=55.6、1%水準で有意)で説明できる。y=0.0078×(短果枝数)+0.0052×(最長新梢長)-0.076×(側枝齢)+0.108
  5. 以上のことから、「豊水」では、直径2cm程度までの側枝は、せん定鋏で切除できること、新梢の発生本数や鋸で切除する太い新梢の発生が少ないことから、せん定の省力化が図れる。また、このような側枝でも果実は小さくならない。さらに、前記重回帰式から側枝基部の肥大は、側枝上の短果枝を少なくし、長大になりそうな新梢を芽かき、または摘心により除去することで抑制できる。
成果の活用面・留意点
  1. 2cm程度の太さの細い側枝を用いると、側枝1本当たりの収穫量が減少することから、従来と同程度の収穫量を得るには、側枝数を多くする。
  2. 枝勢の弱い側枝の割合が多くなることは、樹勢の低下につながる恐れがあるため、樹勢の維持のために主枝先や亜主枝先の強化を図る。
図表1 216036-1.gif
図表2 216036-2.gif
図表3 216036-3.gif
カテゴリ 経営管理 軽労化 省力化 日本なし

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