タイトル |
りんご未熟落下果実の圃場内での効率的な腐熟方法 |
担当機関 |
長野県果樹試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
台風により落下したりんご未熟果実の圃場内でのすき込み処理による腐熟方法を検討した。果実は、スパイラルロータリ(作業速度0.42m/s)で、最も小さく破砕できる。石灰窒素を添加(目標C/N比25)して、りんご未熟果実を3.5kg/m2程度すき込むと、翌春には窒素飢餓を起こさない。また、生育阻害もないことを指標植物(コマツナ)により確認した。
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背景・ねらい |
平成10年9月22日の台風7号襲来により、りんごの落果による被害は甚大であった。特に「ふじ」については、収穫適期まで1カ月近くを残しており、落下した果実は未熟なため加工用として不適であり、その処理は困難を極めた。そのため圃場内でのすき込み処理による効率的な腐熟方法を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- りんごのすき込み量3.5kg/m2は、長野県のりんごの目標収量(4t/10a)の8~9割落下した場合を想定した。すき込み量7kg/m2は、さらにそれを通路部分(圃場面積の約1/2)に集めた場合を想定した。
- りんご未熟果実は、スパイラルロータリ(作業速度0.42m/s、すき込み深度5cm)ですき込んだ時、最も小さく破砕できる(表1)。
- 石灰窒素を11.6g/m2添加(目標C/N比25)して、1m2当たり3.5kgのりんご未熟果実を秋にすき込んだ土壌の翌春の硝酸性窒素濃度は無処理区と同じだったが、同様の割合で石灰窒素を添加してりんご未熟果実を1m2当たり7kgすき込んだ土壌及び1m2当たり3.5kgのりんご未熟果実をすき込んで石灰窒素を添加しなかった土壌の硝酸性窒素濃度は無処理区より低かったことから、石灰窒素はりんご未熟果の腐熟促進に寄与することがわかるとともに、石灰窒素を添加した場合、りんご未熟果実のすき込み量は概ね3.5kg/m2と推定される(図1)。
- りんごのすき込み量が3.5kg/m2程度の土壌では、1カ月後を除き石灰窒素の添加の有無に係わらずコマツナ種子の生育は阻害されない。しかし、りんごを1m2あたり7kgすき込む場合は、C/N比が15~25となるよう石灰窒素を添加しないと発芽率の低下、生育不良等生育が阻害される(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- りんごの未熟落果果実の圃場内での処理の指標として使える。
- りんごのすき込み量が3.5kg/m2程度の場合は、石灰窒素を11~12g/m2(目標C/N比25)程度添加することで圃場内での処理が可能と考えられる。しかし、りんごのすき込み量が7kg/m2以上となる場合、圃場内ではその全てを処理しない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
加工
こまつな
りんご
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