タイトル |
かきわい性台木の組織培養における発根促進技術 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
組織培養によって増殖したかきのわい性台木のシュートの基部に傷を付け、インドール酪酸(IBA)溶液に浸漬後、無機塩濃度を下げ果糖、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)を添加した発根培地に植えて、暗黒処理を行うことにより、70~100%の発根率が得られた。
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背景・ねらい |
かきは高木性であることから、省力栽培のためにわい性台木の利用が望まれているが、挿し木が難しいため増殖が困難である。そこで、県内で選抜されたかきわい性台木系統について、組織培養によって増殖し、発根促進技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 供試材料として、県内で選抜されたわい性台木4系統(AC-1,2,9,23)を用いた。
- ゼアチン1mgを添加し、窒素分のみを1/2にしたMS培地で茎頂培養を行い、得られた無菌植物を節毎に切断して同培地に置床することにより増殖し、これらを材料とした。
- 発根は系統間差が著しく、AC-23はIBA浸漬処理のみで90~100%が発根したが、他系統ではほとんど発根がみられなかったため、以下の操作が必要であった。
- 発根培地に、フェノール性物質吸着を目的としてPVPPを添加したところ、AC-1で、無添加では発根しなかったが、濃度が1~10gで30~40%が発根した。
- 発根培地にショ糖または果糖を添加したところ、AC-1は果糖で、AC-2はショ糖0.1~0.2Mと果糖0.2Mで発根が促進され,AC-9では果糖でわずかに促進された。このことから、果糖0.2Mがどの系統でも効果的であると考えられた(図1)。
- 発根培地の無機塩濃度を下げたところ、AC-1,9では1/4~1/8MS、AC-2では1/2~1/4MSが適当であり、1/4MSでどの系統も発根促進がみられた(図2)。
- シュートの基部にカミソリ刃で縦に傷を付ける処理を行ったところ、発根率が高くなり特に縦に6本傷を付けた区で明らかな効果がみられた(図3)。また、傷を付ける代わりに50%エタノール浸漬処理(IBA処理と同時)を行っても、ほぼ同様の効果が認められた。
- 以上から、図4に示した手順で、かきわい性台木の培養組織の発根を促進することができる。最適条件においてAC-1,2では80%、AC-9では70%の発根率を示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 発根処理を行う際は、発根率の低下を防ぐため、試験管内挿し木増殖を行って1~1.5か月培養後のシュートを用いる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
かき
挿し木
台木
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