タイトル |
炭そ病抵抗性イチゴ新品種「サンチーゴ」 |
担当機関 |
三重県科学技術振興センター |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
イチゴ新品種「サンチーゴ」は、炭そ病抵抗性を持ち、大果で収量が多く、果実品質が極めて優れた促成栽培用品種である。果実は、食味が良好で、ビタミンC含量が高く、「女峰」に匹敵する硬度を持ち、整った円錐形で、光沢のある明赤色の果皮を有する。
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背景・ねらい |
三重県におけるイチゴ生産は、1965年頃に始まり、一時、名古屋市場でのシェアが34%に達するまでに成長した。近年では生産は減少傾向にあるが、依然として農業振興上の重要作物であり、県独自の特色ある品種開発による産地間競争力の強化が求められている。また、消費者からは安全で安心な食料供給に対する要望が高まりつつあり、農薬使用量を低減できる病害抵抗性品種の育成が望まれている。そこで、(1)炭そ病に抵抗性を持つこと、(2)食味、果形、果色や日持ち性など優良な果実形質を具備すること、(3)大果で多収であること、(4)県下全域の促成栽培に適応することを目標として、新品種育成に取り組んだ。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過:「サンチーゴ」は、「アイベリー」、「宝交早生」および「とよのか」の間の交配後代において、炭そ病抵抗性に関する淘汰圧を加えながら世代を進めることによって得られた抵抗性実生集団の中から栄養系選抜された(図1)。平成11年3月に品種登録出願され、平成11年11月8日に出願公表された(第11663号)。
- 品種特性の概要
(1)近年の主要品種にない炭そ病抵抗性を持つが(表1)、萎黄病抵抗性は高くない。うどんこ病の発生は「女峰」よりやや多く、「とよのか」よりかなり少ない。 (2)果実品質は、極めて優れている(表2)。 ア.高糖度低酸度で、さっぱりした甘みが感じられ、食味は良好である。 イ.ビタミンC含量が高い。 ウ.「女峰」に匹敵する果実硬度を持ち、日持ち性・輸送性が良い。 エ.頂果に奇形果が発生することがあるが、2番果以降は円錐形の整った果形になる。 オ.果皮は明赤色で光沢が優れる。 (3)大果で揃いが良く、「女峰」に比べて明らかに収量が多い(表3)。 (4)花芽分化の開始は、「女峰」より2日遅い(表3)。また、花芽分化前定植による収穫開始の遅延は「女峰」よりも顕著に現れる。
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成果の活用面・留意点 |
- 「女峰」に準じた管理によって、促成栽培に用いることができる。
- 萎黄病に対する抵抗性は高くないので、健全苗を用い、汚染圃場での栽培を避ける。
- ランナーは「女峰」と同程度に発生するが、先端が枯死することがある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
萎黄病
いちご
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