タイトル |
キャベツバーティシリウム萎凋病に対する品種抵抗性 |
担当機関 |
群馬県園芸試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
市販F1品種にはキャベツバーティシリウム萎凋病に対し、激発圃場でも被害を回避できる強い抵抗性を有する品種が存在する。固定品種の抵抗性検定結果との比較により、今後の抵抗性育種の可能性が示唆された。
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背景・ねらい |
キャベツバーティシリウム萎凋病は、平成5年に群馬県内の夏秋どりキャベツ産地で初発生を確認して以来、短期間のうちに産地の重要病害として位置づけられるまで被害面積が拡大した。本病は多くの輪作作物に病原性を示すと共に、登録のある防除薬剤もないことから、防除の決め手を欠く難防除土壌病害となっている。そこで防除対策の一つとして、本病に抵抗性を有するキャベツF1品種の検索を行うと共に、それらの育成親となった固定品種の抵抗性を検定することで、本病に対する抵抗性育種の可能性を探究した。
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成果の内容・特徴 |
- 本病の病徴と考えられる外葉の黄化症状は全ての品種に共通するものではなく、中野早生群(サワータイプ)やコペンハーゲンマーケット群(ボールタイプ)の形質を受け継ぐ「麗峰1号」、「YR青春」、「夏山」、「YR25号」等では、外葉に病徴としての黄化症状が出なかったり、出にくい性質を有する(図1、表1)。
- 県内夏秋キャベツ産地に導入されている品種の中では、「YR藍宝」が強い抵抗性を有し、激発圃場での栽培も可能と考えられる。「夏山」、「秋早生」、「YR25号」等は中程度の抵抗性を有し、その他多くの主力品種は罹病性である(図1、表1)。
- 産地に導入されていない品種の中にも、「YR藍宝」に匹敵する強い抵抗性を持った品種がいくつか認められる(表1)。
- 愛知夏蒔群(川崎系、愛知大晩生系)の形質を受け継ぐ品種には強い抵抗性が、また中野早生群の形質を受け継ぐ品種の中にはやや強い抵抗性が受け継がれている(表1)。タイプの異なる複数の品種群に抵抗性素材が確認されたことから、今後優良な抵抗性品種を育成できる可能性がある。
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成果の活用面・留意点 |
- キャベツでは、外葉の黄化という外部病徴だけで品種抵抗性や発病程度を判断せず、茎~根部を縦に切断して維管束の黒褐変状況を調査することが必要である。
- 「YR藍宝」程度の強い抵抗性を有する品種(ランクII程度まで)については、激発圃場でも生産・販売上の問題はほとんどないと判断されるが、抵抗性が中程度の品種(ランクIII、「夏山」、「秋早生」等)については、被害程度の軽い圃場での栽培にとどめる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
黄化症状
キャベツ
抵抗性
抵抗性検定
抵抗性品種
品種
防除
薬剤
輪作
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