タイトル |
野菜栽培における生分解性マルチの実用性 |
担当機関 |
東京都農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
サトイモ栽培および初夏どりスイートコーンと秋まきダイコンの作付体系において、市販の生分解性マルチは、マルチの除去作業を必要とせず、慣行のマルチに比べて同等の収量が得られる。また、紙製マルチは、地温の上昇抑制効果が高く、夏まきダイコンの作期前進に有効である。
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背景・ねらい |
環境保全型農業を推進する一環として農業用廃棄プラスチック類の軽減化を目的に、各種分解性マルチ資材の利用適性を評価する。本報では、1)サトイモ栽培でマルチの上にそのまま倍土を行った後の収量、2)スイートコーンの収量及び分解性マルチすき込み後のダイコンの収量、3)紙マルチによる高温期の地温抑制効果とダイコンの収量等を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- サトイモのマルチ栽培において生分解性の「A資材、B資材、C資材」は、慣行マルチと同等以上の収量が得られる。いずれもマルチャーでの展張性は良い。収穫時にマルチの残骸等はほとんどみられない。紙製の「D資材」は初期段階で資材が飛散し、無マルチと同様な条件となり収量が劣る(表1)。
- スイートコーンのマルチ栽培では、いずれの生分解性マルチも慣行のマルチとほぼ同等の収量が得られる。「D資材」は収穫適期が3日程度遅れる。また、栽培終了後にマルチをすき込み、再度同じマルチを展張してダイコンを栽培しても、根の障害や収量の低下は見られない(表2)。
- 紙製の「D資材、E資材」は、地温上昇抑制型マルチである「白黒ダブルマルチ」に比べて、さらに最高地温(5cm深)を5℃程度低く抑える(図1)。 また、紙マルチは生育を旺盛にするばかりでなく、根の生理障害であるコブ症状の発生を抑え、上物収量を高める(表3)。このように紙マルチは高温期の新たな作型や生産安定化に有効と考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 生分解生資材は保存条件により品質の劣化が生じるものがあるため、冷暗所に保存するばかりでなく、使用量を確認し購入後半年から1年以内で使用する。
- 既存の歩行用マルチャーでは「E資材」の取り付け、展張ができない。
- 紙製のマルチは、裾の埋め込み部の分解が早いので、マルチ展張時に播種や植え付けを行うとともに、飛散する前に培土等を行う。
- 現状では資材代が慣行の3~5倍である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
さといも
生理障害
だいこん
播種
野菜栽培
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