タイトル |
セイヨウアジサイとアメリカノリノキの種間雑種 |
担当機関 |
群馬県園芸試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
胚珠培養と子葉片培養を組み合わせて雑種個体に出現する致死性を回避することにより、セイヨウアジサイ(Hydrangea macrophylla)と北アメリカ原産のアメリカノリノキ(H. arborescens)との種間雑種が作出できる。
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背景・ねらい |
セイヨウアジサイは、群馬県の重要な鉢物花き品目の一つである。セイヨウアジサイは花色の変異が豊富で商品価値が高いが、寒さに弱く、越冬中の花芽が枯死しやすい性質がある。そのため、本県中山間地帯の露地あるいは無加温施設では栽培が困難である。一方、北アメリカ原産のアメリカノリノキは、花色は白色のみで品種分化も進んでいない。しかし、非常に多花性で商品価値の高い品種`アナベル'が知られており、加えて、休眠打破後に伸長する当年枝に花芽が分化するため、耐寒性に優れている。そこで、セイヨウアジサイにアメリカノリノキの持つ優れた多花性や耐寒性の特性を導入するために、雑種作出の方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- セイヨウアジサイとアメリカノリノキの交配では発芽能力のある種子が形成されない。
- 交配後の胚珠を培養すると雑種実生が得られるが、いずれの実生も異常な生育を示し、子葉展開後のカルス化や本葉展開後の褐変、白化が起こりすべて枯死する(表1)。両種の交配では受精は起こるが雑種胚が順調に発育しないこと、雑種植物が幼苗期に枯死することの重複生殖障害が存在し、雑種植物を獲得できない。
- 胚珠培養で得られた雑種個体に致死性が発現する前に子葉を切り取り、ベンジルアデニン(BA)添加した改変MS培地で培養しカルスを誘導する。誘導カルスをBA添加培地で継代し植物体を再生させ、発根を促すことにより、雑種致死性を回避する個体が得られる(表2)。
- セイヨウアジサイ`ブルースカイ'×アメリカノリノキ`アナベル'の組み合わせで得られた植物体は染色体の観察により雑種性が認められる。作出した雑種個体のうち開花した一株はテマリ咲き、肉厚がく片、ピンク花色等の特性がみられる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本法により、これまで困難とされていた雑種個体の作出が可能になる。今後、耐寒性等の実用形質をもった系統を選抜する予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
あじさい
耐寒性
中山間地域
品種
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