タイトル |
超多回育における高品質繭の安定生産防疫管理体系 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場(主査) |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
超多回育において高品質繭を安定的に生産するために、蚕病の発生予察法を取り入れて開発した防疫管理の新技術体系は、従来の方法と比べて経費及び作業時間で約70%、ホルマリン使用量で約60%であり、省力・低コスト・省資源な方法である。
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背景・ねらい |
超多回育養蚕の蚕作安定と高品質繭生産を図るためには、蚕病の早期発見のための迅速診断技術と病原伝搬防止技術による生産環境管理技術の確立が急務である。そこで、飼育準備から出荷繭に至る防疫面の重点管理点を明らかにし、蚕病発生や病原汚染等の診断を行って診断結果の評価に基づいた系統的な防疫管理システムを構築する。
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成果の内容・特徴 |
- 蚕期が重複する場合、農家出荷繭に伝染性病蚕が3%程度含まれていると、在来法の消毒を行っても次蚕期の出荷繭中の病蚕は10%を越え、生糸品質に明らかな影響が現れる。このため、出荷繭中の蚕病発生率は常に3%以下にする必要がある。
- 飼育中の蚕病診断はPCR法で発生割合まで定量できるので、予察による飼育管理には優れた方法であるが、経費・労力の点から出荷繭中の蚕病発生率が3%を越えたときに、飼育中の蚕に対して予察を行う。
- RIPA法による蚕病判定技術を取り入れて出荷繭中の病蚕診断を行う。
- 稚蚕専用蚕室の消毒効果判定は、規定量のホルマリンが散布できていれば必要ない。中・壮蚕専用蚕室の消毒効果は散布後のホルマリン濃度を市販の簡便な検出セットを使って判定し、回転蔟を含めた上蔟室の消毒効果は、培地吸着胞子付きろ紙法で判定する。
- 蚕病蔓延防止のための飼育中の蚕室床及び飼育施設周りの消毒は、消石灰を水で溶いた上澄み液等を散布する方法が、安価・簡便で効果的である。
- 確立した無人防除技術と蚕病診断や被害を考慮した判断基準により、防疫面から生産環境管理技術を組み立てた(図1)。
- 出荷繭の病蚕予察を取り入れた超微粒子噴霧器による施設消毒及び飼育管理体系を想定して経費を試算すると、従来の動力噴霧器による消毒よりも作業時間を約25時間(30%)、ホルマリン使用量を約40%、また、経費は約13万円(30%)削減できる(表1)
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成果の活用面・留意点 |
- 管理技術体系は超多回育養蚕農家を対象として作られているが、それぞれの個別技術は一般養蚕農家でも導入可能で効果がある。
- 予察により蚕病の発生が認められ、蚕児を廃棄することが適当と判断された場合の共済保険について、その適用を検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
カイコ
管理技術
管理システム
出荷調整
診断技術
低コスト
防除
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