タイトル |
スパシフィルム及びカランコエに発生した新病害 |
担当機関 |
岐阜県農業技術研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
県内の鉢物栽培の花き類(スパシフィルム、カランコエ)に発生した原因不明の病害について調査した結果、スパシフィルム疫病、根腐葉斑病そしてカランコエ褐斑病の発生が確認された。
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背景・ねらい |
花き類では、エブアンドフロー灌水システム(プールベンチで湛・排水を繰り返す灌水方式)の普及や新品種の導入などからこれまでにない病害が発生しているが、記載が少なく、また、作物への農薬登録が少ないことからその防除対策についても資料が不十分である。そこで、県内の鉢物栽培の花き類で発生した新病害について、発生生態と防除対策について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- スパシフィルムの葉柄、葉身の腐敗及び株の枯死を引き起こす病害は Phytophthora nicotianae による疫病であった。エブアンドフロー灌水システム圃場で疫病が発生した場合、初発から急激に発病が蔓延し、栽培上の重要病害であった(図1)。また、品種マルチフローラは疫病に対し耐病性がなく、一方、品種メリーは耐病性が認められた(図2)。
- スパシフィルムの根の黒変腐敗及び株の黄化を引き起こす病害は Cylindrocladiumspathiphylli による根腐葉斑病であった。本病に対しては、ベノミル水和剤の灌注処理及びトリフルミゾール水和剤、ベノミル水和剤散布が防除対策として有効である(図3、図4)。
- カランコエの茎、葉の腐敗を引き起こす病害は、Myrothecium roridum による褐斑病であった。本病に対して、クレソキシムメチル水和剤及びビテルタノール水和剤散布が防除対策として有効である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- スパシフィルム疫病がエブアンドフロー灌水システム施設で発生した場合、急速に被害が蔓延し、同じベットで管理していた株の腐敗、枯死が観察されたことから、耐病性品種の利用や被害株の早期除去を行う必要がある。
- スパシフィルム根腐葉斑病の病徴は根部の黒変腐敗であるため、被害株の早期発見が困難であるので注意する必要がある。
- カランコエ褐斑病については、挿し木時期の密植及び頭上灌水が発病を助長する要因となっている。
- それぞれの病害に有効な薬剤は農薬登録がないので、今後、登録に向けた検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
カランコエ
挿し木
新品種
耐病性品種
農薬
品種
防除
薬剤
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