水田転換圃場で発生したコムギ縞萎縮病による被害の予測法

タイトル 水田転換圃場で発生したコムギ縞萎縮病による被害の予測法
担当機関 三重県科学技術振興センター
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 三重県内の水田転換圃場で栽培された小麦「農林61号」に縞萎縮ウイルス(WYMV)が広く発生し、生育阻害、減収などの被害が確認された。減収の主な要因は、精麦重、千粒重の減少によっており、止葉の発病度と相関している。
背景・ねらい 本県における小麦作は、そのほとんどが水田転換圃場である。集団麦作地を対象に発生実態調査を行い、湿害等による生育不良とみられていた圃場の多くで、三十数年ぶりにコムギ縞萎縮ウイルスを確認した。水田転換圃場における調査事例が少ないため、その被害実態を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 県内の小麦作付け品種はほとんどが農林61号であり、集団麦作地域においては、主にWYMVによる単独感染株が多く、一部の地域ではムギ類萎縮ウイルス(SBWMV)の単独感染株及び2種ウイルスの重複感染株が認められた(表1)。
  2. 生育後期における止葉の発病葉率と発病度の間に正の高い相関が認められる(r=+0.93)。生育後期における止葉の発病度と草丈(cm)との間にr=-0.74、稈長(cm)との間にr=-0.70、わら重(g/m2)との間にr=-0.82、精麦重(g/m2)との間にr=-0.70、千粒重(g)との間にr=-0.71の相関が認められる(表3)。発病度が高い圃場では低い圃場に比べ約50%の減収となっており、本病による被害の大きいことが明らかとなった。
  3. 止葉の発病葉率(x)と精麦重(y)との間にはr=-0.83と負の相関が認められ、y=-2.4688x+644.45から精麦重を推測することができる(図1)。
  4. 発病と小麦の外観品質及び蛋白含量との間に相関は認められない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 水田転換圃場における農林61号の栽培地域で、生育後期における止葉の発病葉率及び発病度から被害を推測することができる。
  2. 地域において品種をはじめ施肥等の管理が異なるので、それぞれの地域にあったデータの集積が必要と考えられる。
  3. 「農林61号」に替わる縞萎縮病抵抗性で高品質な新品種の導入が望まれる。
図表1 216148-1.gif
図表2 216148-2.gif
図表3 216148-3.gif
図表4 216148-4.gif
カテゴリ 病害虫 萎縮病 小麦 湿害 新品種 水田 施肥 抵抗性 品種

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