タイトル |
各種土壌病原菌に対する熱水土壌消毒の効果 |
担当機関 |
神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
熱水土壌消毒(神奈川方式)により土壌病原菌(トマト萎凋病菌、トマト褐色根腐病菌、苗立枯病菌、ウリ科野菜ホモプシス根腐病菌)を効果的に消毒できる。
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背景・ねらい |
2005年に全廃される臭化メチル剤の代替技術として、あるいは化学農薬の使用削減などに対応する有用な方法と考えられる、熱水土壌消毒法(神奈川方式)の各種土壌病原菌に対する消毒効果を確認する。
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成果の内容・特徴 |
- 熱水処理は神奈川方式の熱水散水装置を用い、ボイラー(定格出力21,8000kcal)より供給される熱水(散水器口で95℃以上)を1m2あたり300リットル程度処理した。
- 地温の各深度における温度別の継続時間を測定したところ、深度30cmにおいてトマト萎凋病菌の死滅温度である55℃以上が22時間継続した。深度50cmにおいても40℃以上が35時間継続した(表1)。
- 熱水処理後回収した埋設汚染土(トマト萎凋病菌、トマト半身萎凋病菌、トマト褐色根腐病菌、苗立枯病菌、ウリ科野菜ホモプシス根腐病菌)を用いて、トマト苗およびキュウリ種子による生物検定を行った。いずれの病害も埋設深度30cmまでは発病が認められず、50cmおよび70cmにおいても高い消毒効果が認められた(表2)。
- トマト萎凋病菌について選択培地を用いて、熱水処理による埋設汚染土中の菌数の変動を測定したところ、埋設深度10~30cmまでは検出されなかった。埋設した汚染土中の菌密度は乾燥土1gあたり4.69×107cfuであったが、熱水処理後には埋設深度50cmにおいては4.35×102cfuまで菌数が減少していた(表3)。
- 試験に供試した4種類の土壌病原菌について、本熱水土壌消毒法により十分な消毒効果があることが確認された。
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成果の活用面・留意点 |
- 土壌あるいは対象作物によって効果の違いが考えられるが、それぞれの地域の実状と作物にあった具体的な熱水土壌消毒法の確立が必要である。
- 本法による消毒を行った現地調査で、キュウリのネコブセンチュウで効果が認められなかった事例が1件あったため、センチュウに関しては土壌中の移動や土壌の水分量などの調査が必要と考えられる。
- 本法による土壌消毒効果がどの程度の期間有効であるか継続的に調査を行う必要がある。
- 本法により土壌中の除塩効果もあることが認められた。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
きゅうり
立枯病
土壌消毒
トマト
根腐病
農薬
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