タイトル |
性フェロモン剤によるニカメイガの交信撹乱と防除効果 |
担当機関 |
岐阜県農業技術研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ニカメイガの交信撹乱を目的に性フェロモン剤(ディスペンサー) 250本/ha(少発生時 125本)を水稲移植期(早植:5月中旬、普通植6月中下旬)から約3ヶ月間、5~13ha(周囲が防除されていれば1ha)の水田に設置することで第2世代幼虫による被害を軽減できる。
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背景・ねらい |
「あいがも稲作」など有機栽培を実施するにあたり、ニカメイガが多発し、防除対策が必要となる。そこで、その解決策として性フェロモンの交信撹乱防除技術の実用化の検討が求められている。
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成果の内容・特徴 |
処理した性フェロモン剤は信越化学工業(株)製のディスペンサー(ポリエチレン製:長さ20cm)で、処理量は1ha当たり 125本及び 250本で、水稲移植期頃(早植:5月中旬、普通植:6月中下旬)から約3ヶ月間、田面上約40cmの位置に支柱にてほ場に設置した。1.越冬世代成虫の水稲移植後からのフェロモントラップへの誘引数が110頭程度であれば、第二世代幼虫による被害をかなり抑制できる(表1)。 越冬世代成虫の水稲移植後からのフェロモントラップへの誘引数が約25頭程度の少発生の場合は、性フェロモン処理量を約半分に減らしても、第1、2世代幼虫ともに防除効果が期待できる(表1)。 越冬世代成虫の水稲移植後からのフェロモントラップへの誘引数が800頭程度では、交信撹乱による十分な防除効果は期待できない(表1)。 性フェロモン処理面積が1ha程度の小面積条件でも、周辺地域のニカメイガの防除がなされていれば、第1、第2世代幼虫に対する防除効果が期待できる(表2)。 性フェロモン処理面積が5ha程度の条件下で、フェロモン処理量が同じであれば、性フェロモン設置箇所数を半分にしても防除効果が期待できる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 現在ニカメイガの性フェロモン剤は農薬として登録されていない。
- 性フェロモン剤は水稲移植後なるべく早くほ場に設置する。
- 性フェロモン剤を設置するほ場が円形か正方形に近いほど防除効果が高い。
- 傾斜地や、強風及びニカメイガ多発生の地域では防除効果が劣る。
- 性フェロモン剤を処理する面積は5ha以上が望ましい。ただし、周囲でニカメイガの防除がされていれば1haでも防除効果が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
有機栽培
病害虫
傾斜地
水田
水稲
性フェロモン
ニカメイガ
農薬
フェロモン
防除
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