タイトル |
葉柄汁液の無機リン濃度に基づくイチゴの簡易栄養診断 |
担当機関 |
埼玉県園芸試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
イチゴにおいて、葉柄汁液中の無機リン濃度を指標(指標値:200~400mg/l)とした簡易栄養診断により、リン酸の効率的な施肥管理が可能である。
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背景・ねらい |
リン酸は、過剰による生育障害が現れにくいことから、基肥だけでなく追肥によっても多肥となる傾向がみられ、施肥効率が低いだけではなく環境に対する負荷が懸念される。そこで、土壌診断だけではなく、作物体の栄養診断からもリン栄養を把握し、効率的かつ環境に対する負荷を少なくするために、イチゴの作物体のリン診断指標値を策定することにより、リン酸減肥を進めていく技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 葉柄(展開第3葉以上)汁液中の無機リン濃度は、生育期間を通してリン酸施用量に応じて推移し(図1)、各年度の生育期間の平均値も標肥区が220~451mg/l、減リン酸区が174~369mg/l、無リン酸区が43~143mg/lと土壌中の可給態リン酸と同様にリン酸施肥量を反映している(表1)。
- リンの診断を行うために、簡易測定法の実用性を検討した結果、汁液中リンの従来法による測定値(X)と小型反射式光度計の測定値(Y)との間には高い相関(Y=0.97X-15.3、r=0.974**)がみられ、現場での診断に用いる機器としての実用性が高い(図2)。
- リン酸施用量に対するイチゴの果実収量は、減リン酸区と標肥区がほぼ同等であるのに対し、無リン酸区は収穫初期から低く、収穫全期間では3割程度の減収がみられる(表2、図3)。
- 以上の結果より、葉柄汁液中のリン濃度は、リン酸施用量に応じた推移がみられたのに対し、収量は標肥区及び減リン酸区はほぼ同等で無リン酸区が低かったことから、減リン酸区におけるリン濃度程度、つまり葉柄汁液中の無機リン濃度の指標値を200~400mg/lとして診断ができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 搾汁液の採取は硝酸の測定と同様にニンニク搾り器等を用いて行う。
- 小型反射式光度計による測定では搾汁液を10~20倍に希釈する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
肥料
いちご
栄養診断
簡易測定
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土壌診断
にんにく
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