茨城県の農業生産における有機物由来窒素フロー量の評価

タイトル 茨城県の農業生産における有機物由来窒素フロー量の評価
担当機関 茨城県農業総合センター農業研究所
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 地下水の環境基準値に考慮して有機物フロー量を評価した結果、多くの市町村における畜産由来有機物はその域内で農地還元できるものの、一部の市町村では環境負荷となりうる畜産由来有機物が生じており、効率のよい利用が求められる。
背景・ねらい 有機物の施用は地力の維持増進といった意味でも重要である。しかしながら過剰に施用すれば、地下水の硝酸汚染など環境へ悪影響を及ぼしかねない。そこで県全体および各市町村において、農耕地における窒素フロー量を把握し、有機物の農地還元の現状について評価を行った。また地下水中の硝酸態窒素濃度の環境基準を考慮した施用を行う際、現在未利用の畜産由来有機物を農地に還元することが可能かどうかについても検討した。
成果の内容・特徴
  1. 有機物フローの算出には農水省農業環境技術研究所開発の手法「農村地域における有機物フローシステム」(1985年)を利用した。この中の統計データは農林水産省農林水産研究計算センターの共通の基礎データにより提供されている市町村別基礎統計(1990年)を用いている。また農業生産における有機物由来窒素フロー量の評価には三島の手法を用いた。
  2. 本県において農地に投入される窒素量は243kg/ha、そのうち化学肥料の投入量は118kg/haと最も多い。また本県の農地において「余剰となる窒素([インプット] - [アウトプット])」は90kg/haと算出された(図1)。
  3. 茨城県の年間平均降水量を1,300mmとして、その半分の650mmが地下に浸透し、「余剰となる窒素」の全量が硝酸態窒素として浸透水中に均一に溶解すると仮定すると、浸透水中の硝酸態窒素濃度は環境基準値10mg/Lを上回る。
  4. 地下水の硝酸態窒素の環境基準値10mg/Lを考慮して、農地における余剰窒素の上限値を65kg/haとした。「余剰となる窒素」を90kg/haから65kg/ha以内に抑えるとすると、本県における農地への投入窒素量は243kg/haから218kg/ha以内に減らす必要がある。これは21%の化学肥料の減肥で対応できる。しかし「未利用有機物」を厩肥として農地還元する場合には、化学肥料を53%減肥しなければならない(図1)。
  5. 各市町村別に検討した結果、多くの市町村では地下水の硝酸態窒素の環境基準値を考慮しても「未利用有機物」を農地還元できることがわかった。しかしながら畜産の盛んな一部の市町村では、すでに農地の許容量をはるかに上回る有機物が生産されている(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 有機物の農地還元や環境負荷の評価に基づいて、有機物の施用技術および県内における畜産由来有機物の利用を円滑に行っていくための基礎資料とする。
  2. 畜産由来有機物の農地還元量については、広域に流通しているが、フロー量には反映されていない。
図表1 216183-1.gif
図表2 216183-2.gif
カテゴリ 肥料 施用技術

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