タイトル |
水稲温暖地早期栽培地帯における、酸素供給資材粉衣籾の加温による湛水土中条播栽培水稲の播種早限の前進 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
[連絡先] 湛水土中条播栽培において、酸素供給資材を粉衣した籾を加温することにより出芽勢が向上し、播種時期を4月15日頃まで前進させることができる。その場合、慣行の4月下旬~5月播種と比較して生育ステージが1週間以上早まる。また、稈長が短縮するために倒伏が軽減され、生育の安定化を図ることができる。
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背景・ねらい |
湛水土中条播栽培では現在、播種早限が県中央地域で4月第6半旬とされているが、これでは移植栽培よりも収穫時期が大きく遅れてしまう。そこで、酸素供給資材粉衣籾の加温処理が出芽・苗立ちに及ぼす影響を明らかにして播種早限を再検討し、生育ステージの前進と生育の安定化を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 酸素供給資材粉衣籾の加温は、粉衣作業の直後に30℃・24時間行う(図1)。
- 加温した粉衣籾が安定して出芽する温度条件は15℃以上であり、これは無加温の場合と変わらない。しかし、出芽適温となった時に無加温の粉衣籾より早く出芽が始まり、出芽揃いまでの期間が短くなる。なお、出芽適温となる時期以前に播種し、播種から出芽始めまで1週間程度要しても必要な苗立ち率が確保できる(図2)。
- 4月第5半旬になると日平均気温が15℃以上の日の出現頻度が顕著に高くなる。出芽始めまで1週間程度の経過期間が生じても苗立ち率に悪影響を及ぼさないので、4月15日頃が播種早限となる(図3)。
- 播種時期が早い、つまり出芽期の気温が低いほど加温により初期生育が促進されて、生育ステージが短縮される。また、従来よりも10日程度播種時期を早めることによる生育ステージ前進効果は1週間以上であり、移植栽培に近づく(表1)。
- 「ふさおとめ」の場合、4月中旬播種(播種量4kg/10a)、基肥窒素量2kg/10a、苗立数約100本/m2において倒伏限界稈長である80cmを下回り、倒伏の軽減を図ることができ、生育がより安定化する(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 乾燥を防止するため、網袋等に入れて湿度の高い育苗器内で加温する。
- 加温直後の粉衣籾は崩壊しやすくなっているので、持ち運び等の取り扱いに注意する。また、播種時における資材の崩壊を防ぐため加温終了後は粉衣籾を充分に乾燥させる。
- 播種後、出芽適温より低い気温が続いた場合は芽の伸長が停滞する。種子が枯死するのを防止するため、落水出芽方式を徹底する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
育苗
乾燥
水稲
播種
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