播種前耕起鎮圧による水稲不耕起乾田直播栽培の適用地域の拡大

タイトル 播種前耕起鎮圧による水稲不耕起乾田直播栽培の適用地域の拡大
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 愛知式不耕起播種機を用いた直播栽培において、播種前に実施する夏季から冬季の代かき作業が不可能な地域では、耕起・鎮圧作業が有効である。鎮圧作業としてはカルチパッカーを用いると播種精度は、代かき田と同等に良好である。
背景・ねらい 愛知式不耕起播種機を利用した水稲の直播栽培は、前作残さのすき込みやほ場の均平を目的とした夏季から冬季の代かき作業と組み合わせることによって、播種精度の確保、漏水防止、鳥害の防止等が実現でき(平成6年度及び平成10、11年度関東東海農業の新技術)、栽培面積が急激に増加しつつある(平成12年度275ha)。しかし、冬季代かきでは冬季に給水不可能な地域が多く存在すること、夏秋季代かきでは水稲の収穫作業等との作業競合や夏作として大豆等が作付けされている場合には実施不可能である。そこで、これらを解決し、水稲の不耕起乾田直播栽培の適用地域の拡大を図る。
成果の内容・特徴
  1. 冬季に均平に留意しながらほ場を耕耘し、その後カルチパッカーなどの鎮圧機で鎮圧する(図1)。作業幅2.4m、重さ1.8トンのカルチパッカーの場合、2回走行・鎮圧する(15分/10a)ことによって、良好な播種精度の達成に必要な田面土壌硬度(2.4kgf/cm2)が確保できる(図2)。
  2. 愛知式不耕起播種機(播種溝:開口部2cm、深さ5cmのV字型)で播種すると、適正に鎮圧されたほ場では、出芽深度4~5cmが確保される(図2)。また、土壌表面が冬季や夏秋代かき田に比べやや膨軟で覆土されやすいため、鳥害の発生が回避(出芽深度2.5cm以上(平成11年度関東東海農業の新技術参照))できる(表1)。
  3. ロータリ耕起均平鎮圧(播種機装着型の鎮圧ローラ)の場合は田面硬度が1~1.5kgf/cm2と膨軟なため、出芽深度が1.5~2.5cmと浅くなり鳥害の発生が懸念される(図2)。
  4. カルチパッカーによる鎮圧では田面の硬度は秋季代かきと同等であるが、それより深い層では柔らかい(図3)。このため、根の発達が促進され初期生育がややおう盛になり(図4)、秋季代かき田と同等の収量が得られる(表1)。
  5. 以上から、冬季代かきや夏秋季代かきが実施できない地域では、冬季に耕耘後のカルチッパッカーによる鎮圧作業が有効である(図5)。
成果の活用面・留意点
  1. 鎮圧法としては、ほ場の均平と良好な播種精度の達成に必要な田面土壌硬度(2.4kgf/cm2)が確保できれば、カルチパッカー以外の方法でもよい。
  2. 冬季代かきや夏秋季代かき田に比べ漏水が懸念されるため、乾田畦塗り機などを活用し漏水防止の対策を講ずる。または、ほ場の選定には留意する。
  3. 代かき田に比べ排水のための明きょの施工が容易である。
図表1 216227-1.gif
図表2 216227-2.gif
図表3 216227-3.gif
図表4 216227-4.gif
図表5 216227-5.gif
図表6 216227-6.gif
カテゴリ 乾田直播 直播栽培 水稲 大豆 鳥害 播種

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