大麦縞萎縮病ウイルス3型系統抵抗性で麦芽品質の優れた二条大麦新品種「スカイゴールデン」

タイトル 大麦縞萎縮病ウイルス3型系統抵抗性で麦芽品質の優れた二条大麦新品種「スカイゴールデン」
担当機関 栃木県農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 ビール醸造用二条大麦「スカイゴールデン」は大麦縞萎縮病ウイルス1・2・3型系統及びうどんこ病に抵抗性をもつ。千粒重、整粒歩合が高く、整粒重が高く、可溶性窒素が高くなり易いものの総じて麦芽品質に優れる。栃木県で認定品種に採用。
背景・ねらい 栃木県南部を中心とするビール醸造用二条大麦の主産地では、以前より蔓延していた大麦縞萎縮病ウイルス1型系統に加え、近年3型系統による被害が拡大しつつある。大麦縞萎縮病に罹病すると、抵抗性遺伝子を持たない品種では著しい収量低下を招く。また、1型抵抗性品種が3型に感染すると罹病性品種ほどの被害は出ないが、収量の低下とタンパク質含量の増大を招き品質面からも問題となる。現在普及している品種に3型抵抗性品種はなく、3型抵抗性品種の採用・普及が急務といえる。また、実需者から製麦・醸造品質の高いビール大麦生産が求められている現状では、高い製麦・醸造用品質を合わせ持った品種の育成が必要不可欠といえる。
そこで、3型系統抵抗性遺伝子として、はがねむぎ由来のym3を導入し、醸造品質が優れ、収量水準も高い品種の育成を図る。
成果の内容・特徴 「スカイゴールデン」は平成元年度に栃木県農業試験場栃木分場において、製麦・醸造品質の優れる関東二条25号を母に、はがねむぎ由来の大麦縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3を持つ栃系216を父とする人工交配を行い、その後代から世代促進を組合せた派生系統育種法で選抜固定を図り育成した系統である。平成11年度の世代はF12である。
育成地では、標準品種「あまぎ二条」と比較して次のような特徴がある。
  1. 出穂期は1日、成熟期は2日程度早いやや早生種である。
  2. 稈長は同程度でタカホゴールデンより低い。穂長は短く、穂数は同程度~やや多く、1穂粒数は1~2粒少ない。
  3. 耐倒伏性が優れる。
  4. 大麦縞萎縮病ウイルス1型・2型・3型系統とうどんこ病に複合抵抗性である。
  5. 子実重はやや高い程度だが整粒歩合が高く、整粒重は優れる。
  6. 千粒重が大きく、原麦の外観品質は穀皮の貼付き程度がやや低いものの、しわが多く、同程度~やや優れる。
  7. 水感受性が高くタカホゴールデンと同程度であるが、麦芽品質には影響しない。粗タンパク質含量も高くミカモゴールデンと同程度である。
  8. 麦芽エキス、エキス収量、ジアスターゼ力、最終発酵度は明らかに高く、麦芽エキス、エキス収量、最終発酵度はミカモゴールデンにも優る。麦芽全窒素は高くミカモゴールデンと同等であるが、溶けが良いことから粗タンパク質含量が高い時は可溶性窒素、コールバッハ数が高くなりすぎることがある。麦汁のβ-グルカン、麦汁粘度が低く優れる。総じて醸造品質は極めて優れ、ミカモゴールデンにもやや優る。
成果の活用面・留意点
  1. 温暖地東部の平坦地に適する。
  2. あまぎ二条と比べ粗タンパク質含量が高くなり易いので施肥、特に基肥窒素に注意する。
  3. 平成12年に栃木県の認定品種に採用された。
図表1 216234-1.gif
カテゴリ アスター 育種 萎縮病 うどんこ病 大麦 新品種 施肥 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 品種

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