タイトル |
泌乳初期乳生産における食品製造副産物に由来する繊維の有効利用 |
担当機関 |
群馬県畜産試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
TMR中に食品製造副産物を6割混合した場合でも、NDF含量、非分解性蛋白質割合および粗脂肪含量に留意して、製造副産物中の繊維を活用することにより、牛の消化生理を損なうことなく低コストな乳生産を実現できる。
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背景・ねらい |
泌乳初期の搾乳牛における高位乳生産を実現するために、従来、大量の輸入穀物が利用されてきた。一方、食品製造副産物の飼料利用は、牛乳品質にしばしば悪影響を及ぼすため敬遠されている。しかし、食糧自給・環境保全・資源循環・低コスト生産の面から、製造副産物の飼料利用については積極的に検討する必要がある。そこで、製造副産物のより一層の活用を図るために、製造副産物と5mm粉砕トウモロコシを用いた製造副産物多給区(HB区)、製造副産物の粗飼料代替効果を調べるためこれを多給し粗飼料給与割合を低く抑えた区(低粗飼料区)の2区を設け、製造副産物少給区(LB区)を対照として飼養試験を実施し、製造副産物に由来する高消化性繊維の有効な活用方法について検討した。
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成果の内容・特徴 |
泌乳牛48頭を3区分して、分娩後105日間の飼養試験を実施した。製造副産物としてビートパルプ、ビール粕、トウフ粕、コーングルテンフィードなどを、粗飼料としてはチモシーおよびアルファルファの切断乾草を用い、混合飼料(TMR)の形態で給与した。給与飼料の混合割合は表1に示した。
- 飼料中(設計値)のTDNおよび粗蛋白質(CP)含量は概ね等しくした。低粗飼料区のNDF含量およびCP中非分解性蛋白質(CPu)割合は他の区に比較してそれぞれ45%、40%と高い値であった。また、製造副産物を多給した試験区の澱粉含量は12%程度と低い値であった(表1)。
- 乾物摂取量、増体指数および泌乳成績に大きな差はみられなかった。しかし、LB区と比較して他の区のNDF摂取量は有意に多く、澱粉摂取量は有意に少なかった(表2)。
- 低粗飼料区は粗飼料含量が少ないが、乾物あたりの咀嚼時間に差は認められなかった(表2)。
- 各試験区の第一胃液性状に有意な差は認められなかった(表2)。
- TMR中に製造副産物を6割混合することにより、澱粉含量が12%程度と低下しても、NDF含量を40~45%、CPu/CPを35~40%そして粗脂肪含量を6%以下に保てば、LB区と同等の泌乳成績が得られ、乳飼比も低く抑えることができる(表2)。
- 製造副産物はトウモロコシや輸入乾草に代替でき、生乳の低コスト生産に有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 高泌乳牛において、製造副産物を利用する場合の飼料設計に活用できる。
- 生トウフ粕等の水分含量の高い製造副産物の利用については、別途、調製保存(品質保持)上の問題について検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
アルファルファ
飼料設計
低コスト
とうもろこし
乳牛
品質保持
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