タイトル |
豊産性で酒質の優れた白ワイン用ぶどう新品種「サンセミヨン」 |
担当機関 |
山梨県果樹試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
「サンセミヨン」は、栽培性に優れる「笛吹」とワイン品質の良好な「グロー・セミヨン」を交雑して育成した白ワイン用ぶどうの新品種である。果房重は390gと大きく、豊産性であり、糖度も20~21%と高く、ワインの香り、味のバランスともに良好である。
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背景・ねらい |
わが国の温暖多湿な気象条件下においては、「シャルドネ」などの欧州系のワイン用品種は裂果や病虫害が発生しやすく、安定栽培が難しい。このため、ワイン品質の良好な欧州系品種と栽培性の良好な米国系雑種を材料として、豊産性で酒質の良い醸造用品種の育成に取り組んできた。
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成果の内容・特徴 |
- 山梨県果樹試験場において昭和52(1977)年に、栽培性に優れる「笛吹」にワイン品質の良好な「グロー・セミヨン」を交雑し、平成2(1990)年に選抜した。平成4(1992)年から「ブドウ山梨34号」としてぶどう第7回系統適応性検定試験に供試した結果、有望であることが認められたため、平成11(1999)年7月に種苗法による品種登録の申請を行い、平成12(2000)年2月15日付けでぶどう農林20号「サンセミヨン」として命名、公表された。
- 樹勢は中程度で、花振るいが少なく、豊産性の二倍体品種である。
- 果房重は390gと既存品種より大きく、果粒重は3g、着粒密度は中程度で裂果は認められない(表1、図1)。
- 糖度は20~21%と既存品種より高く、酸度は約0.7g/100mlである。
- うどんこ病、べと病等の発生は他の欧州系品種より少ない。
- 熟期は8月下旬で「甲州」や「甲斐ブラン」より早く、秋雨による影響を受けにくい。
- ワインの品質は「甲州」や「甲斐ブラン」より優れており、香りは華やかで、味はバランスが良く、フルーティでボディがある(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 東北以南のぶどう栽培地帯に適するが、北海道や本州の高標高地では果実が熟さないため、栽培は困難である。
- 酒質を低下させないために、棚栽培では収量を10aあたり1.8トン程度になるよう摘房を行う。
- 晩腐病にやや弱いため、早めに果房の傘かけを行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
うどんこ病
新品種
品種
ぶどう
ワイン
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