もも「浅間白桃」系統間の花粉の有無による落蕾症発症の違い

タイトル もも「浅間白桃」系統間の花粉の有無による落蕾症発症の違い
担当機関 山梨県果樹試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 ももの落蕾症はホウ素過剰により発生し、マンガン欠乏で助長される。落蕾症発症の強弱は花粉の有無に関連し、花粉がある系統ではホウ素過剰に対する感受性が低く、花粉がない系統では高い。
背景・ねらい 「浅間白桃」等の花粉のないもも品種に多く発生している落蕾症(花芽が開花直前に枯死する症状)の原因はホウ素過剰とマンガン欠乏であることを既に報告した。そこで、従来の「浅間白桃(花粉なし)」と他の形質が類似し花粉の有無が異なる*「浅間白桃の枝変わり系統(花粉あり)」(以下、「枝変わり系統」)を水耕栽培により落蕾症発生条件に置き、落蕾症を発生させたうえで花粉の有無と発症との関係を検討する。*山梨県櫛形町で発見され、収穫期は7月下旬~8月上旬で「浅間白桃」より2~3日遅い。
成果の内容・特徴
  1. 水耕液のホウ素濃度が高いほど「浅間白桃」の花芽の枯死率は上昇し、マンガンを欠乏状態に置くと枯死率はさらに高まり、最大72%に達した(図1)。しかし、マンガンが欠乏しただけでは枯死率が低いことからホウ素過剰が落蕾症発生の主原因であり、マンガン欠乏は発生を助長する要因であることが確認された。
  2. 一方、「枝変わり系統」の花芽の枯死率は「浅間白桃」の1/5以下と低く抑えられた(図1)。この結果から落蕾症状の強弱は花粉の有無に関係する。
  3. 両系統において開花直前の花芽中ホウ素含量が高いほど花芽の枯死率は上昇し、落蕾症は花芽にホウ素が集積するため発生すると考えられる(図2)。しかし、花芽中マンガン含量と枯死率との間には明瞭な関係は認められなかった(図3)。
  4. 「浅間白桃」では花芽中のホウ素含量が上昇すると枯死率は「枝変わり系統」の4倍以上と高く、花芽中のホウ素過剰を強く感受する何らかの機能の違いがあると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 落蕾症が発生するもも栽培園に適用される。
  2. 落蕾症の対策法にはホウ素を含まない肥料の使用や硫酸マンガン200倍溶液の葉面散布がある。しかし、実施しても効果が認められない場合は、花粉のある品種(「白鳳」等)に改植すれば落蕾症の発生を軽減できる。
図表1 216304-1.gif
図表2 216304-2.gif
図表3 216304-3.gif
カテゴリ 肥料 改植 水耕栽培 品種 もも

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