中生種で良食味の青なし新品種「南月」

タイトル 中生種で良食味の青なし新品種「南月」
担当機関 長野県南信農業試験場
研究期間 1973~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 日本なし「南月」は「越後」に「新水」を交配し、育成したもので、育成地(長野県下伊那郡高森町)では9月上~中旬、「幸水」と「豊水」・「二十世紀」の間に収穫になる中生種で、糖度が高く良食味の青なし品種である。黒斑病に抵抗性であり、短果枝の維持が良いことから10a当たり4t前後の収量が見込める。
背景・ねらい 昭和40年代の長野県のナシ栽培は、「二十世紀」が大半を占める品種構成の中でその前後を補助する品種が望まれていた。そこで「二十世紀」、「幸水」、「豊水」に優る果実品質と耐病性を備えた品種を育成することを目標とした。
成果の内容・特徴
  1. 昭和48年に「越後」に「新水」を交配して得られた実生から選抜・育成した。平成9年12月5日付けで種苗法に基づいて品種登録された(登録番号第5866号)。
  2. 樹姿は中間で「新水」に似る。樹勢は中庸。枝梢の太さは中、節間長は中で充実する。短果枝の着生はやや多で維持はすこぶる良好である。えき花芽の着生は少ない(表1)。
  3. 開花期は「南水」とほぼ同時期である。「幸水」、「豊水」、「二十世紀」との交配和合性は相互に高い。「ヤーリー」、「松島」とも交配和合性が高く受粉樹として利用できる。「南水」とは不和合で、「新星」とは不和合の可能性がある(表2)。
  4. 育成地(高森町)における成熟期は年次変動がみられ、9月上~中旬であり、「幸水」と「二十世紀」、「豊水」の間に収穫になる中生品種である。満開後成熟に要する日数は135日である(表3)。
  5. 果形は円、果実の色は黄緑色で外観は「二十世紀」に似る。果実の大きさは350~400gと中玉品種で無袋果では果面にさびが発生する。果肉は雪白で、果肉の硬さは中で肉質はやや粗く「幸水」、「豊水」に比べ劣る。糖度は13~14%と「二十世紀」に比べて高く、酸味は少なく果汁はやや多い。未熟果は渋味が残る場合がある。果心は小さい(表4,表5)。貯蔵性は常温で7日、冷蔵で20日程度で「二十世紀」に比べるとやや劣る。
  6. 原木の収量調査や花芽の着生、果実肥大から4t/10a程度の収量が見込まれる。
  7. 黒斑病に抵抗性であり、黒星病も通常防除下では発生が認められていない。果皮及び果肉に発生する生理障害は無~僅か、収穫前落果は少である。
成果の活用面・留意点
  1. 「二十世紀」の前に収穫になる高糖度の青なしとして位置づける。
  2. 果面のさび発生軽減対策として、満開30日以内に一重ワックス袋を被袋する。
  3. 収穫適期は果皮色で判断し、「二十世紀」用カラーチャートで3.5程度とする。
図表1 216306-1.gif
図表2 216306-2.gif
図表3 216306-3.gif
図表4 216306-4.gif
図表5 216306-5.gif
カテゴリ 病害虫 カラー 黒星病 受粉 新品種 生理障害 中国なし 抵抗性 日本なし 品種 防除 良食味

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