近年急増しているもも樹の凍害発生の実態と助長要因

タイトル 近年急増しているもも樹の凍害発生の実態と助長要因
担当機関 岐阜県中山間農業技術研究所
研究期間 2000~2005
研究担当者
発行年度 2000
要約 もも樹の凍害は、樹体内の糖含量が少ない幼木期に発生が多く、主幹部の地上60cm以下の南側日射面に発生しやすい。また、早期落葉によって糖含量が減少した樹や主幹部に傷害を受けた樹では凍害発生が助長される。
背景・ねらい 近年、暖冬や春先の気象変動が大きくなる傾向の中で、もも樹に凍害が多発しており、主幹部に亀裂や褐変を生じて枯死する樹が急増している。そこで、今後の防止対策を講ずるために発生実態を調査するとともに、発生に関与する要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 凍害を受けた樹は、樹皮に大小様々な縦の亀裂を生じたり、皮部が褐変壊死し樹皮を剥ぐと発酵臭を発して木質部が露出する。また、幹の横断面を観察すると木質部の黒変化が認められる(図1)。
  2. 主幹部が全周にわたり被害を受けた樹は、開花期頃までに樹全体が萎凋枯死し、地際部からヒコバエが発生する。また、被害部位にはLeucostoma sp.などの樹幹病害が二次感染し被害を拡大している。
  3. 凍害の発生部位は、主幹の地上60cm以下の高さに集中し、方位別では幹の南~南西側の日射面において特に多い(データ略)。
  4. 凍害の発生は2~5年生位までの幼木期に特に多い。これは主幹部における全糖含量が成木に比べて幼木では常に低く、耐凍性が劣るためと考えられる(図2)。
  5. 早期落葉により樹体内へのデンプンや糖の蓄積が阻害されると、凍害が発生しやすくなる(表1)。このため、着葉を保護し炭水化物の蓄積を促すことが重要である。
  6. 冬季における主幹部の傷害数が多いほど凍害発生が助長されるため(表2)、幹に傷を付けるような秋以降の剪定を慎み、積雪による枝の折損や獣害を防ぐことが大切である。
成果の活用面・留意点
  1. 凍害の発生が認められる地域において、現場指導の基礎資料として活用できる。
  2. 樹勢の強弱など生育状態が関係して発生する凍害は、その生育状態によって原因と対策が異なるため、それぞれに応じた予防対策を講じる。
図表1 216316-1.gif
図表2 216316-2.gif
図表3 216316-3.gif
図表4 216316-4.gif
カテゴリ 凍害 もも

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