タイトル |
完熟収穫型単為結果性トマト新品種「試交99-2」 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
完熟収穫に適して食味が優れ、ホルモン処理やマルハナバチによる着果作業が不要で省力栽培が可能な単為結果性トマト新品種「試交99-2」を育成した。
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背景・ねらい |
トマトの輸入が急増し、国際競争が激化する中で、栽培の省力化を行うために、ホルモン処理及びマルハナバチによる交配などの着果作業が不要で、食味が優れ、耐病性を備えた完熟収穫型単為結果性品種をサカタのタネと共同開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
平成8年、「ラークナファースト」の母親PF841に「桃太郎8」を交雑し、その後代からPASK-1とPASK-2を、同じく父親PF811の果実形質を改良してPF811Kを育成した。これらのF1組合せについて、特性、病害抵抗性及び現地適応性検定を行い、「試交99-2」(PASK-1×PF811K)が、安定した単為結果性を示し、病害抵抗性の複合度が高く、実用形質も優れていることが確認されたので、育成を完了した(図1)。
- 形態・生態的特性
本品種は、「桃太郎ヨーク」に比べ、生育初期の草丈が低く、草勢はややおとなしいが、生育が進むに従い、やや強くなる。シングル花房で、花は大きく、帯花性はない。開花始期はやや遅い(表1)。低温期、高温期とも安定した単為結果性を示す(表2)。萎ちょう病(レース1)と根腐萎ちょう病及びタバコモザイクウィルスに抵抗性(Tm-2a/+)を有する(表3)。
- 果実特性
果重は、促成栽培で約170g、半促成栽培では約160gと、「桃太郎ヨーク」や「ハウス桃太郎」よりやや軽い。果形はハート型~球形で、果頂部にとがりが出やすい。すじ腐れ果等の不良果は少ない。果色は濃赤色である。糖度は比較的高く、安定している(表4)。
- 収量性
促成、半促成栽培とも良果数の割合が高い。半促成では、良果重量も多い(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 栽植様式や栽植密度を工夫して光環境を良くすると果実肥大が向上し、糖度も高まる。
- 各花房第1花の果実肥大が旺盛なため摘除し、第2花から4果着果させると大果で揃う。
- 雨よけハウスによる中山間地夏秋栽培では、収量性は優れるが、青枯病抵抗性がないため、TMV抵抗性の遺伝子型を考慮のうえ、耐病性台木への接ぎ木が望ましい。
- 平成12年に販売を開始した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
青枯れ病
省力化
新品種
台木
たばこ
単為結果
中山間地域
接ぎ木
抵抗性
トマト
病害抵抗性
品種
マルハナバチ
良食味
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