葉柄切片培養法によるフキ培養苗の大量増殖

タイトル 葉柄切片培養法によるフキ培養苗の大量増殖
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間 1998~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 フキ無菌植物の葉柄切片から効率的に不定芽を誘導するためには、不定芽分化用MS寒天培地のショ糖濃度を4~5%とし、葉身側の切断面を培地に接するように置床する(反転置床)。分化した不定芽の発根培養では支持体としてセル成型トレイを利用し、発根率向上のためアンモニア態窒素を除いたMS液体培地を使用する。
背景・ねらい 組織培養によるフキ苗の大量増殖に関する研究は古くから行われているが、操作が煩雑で増殖率もやや低く安定的でないなど、事業化するには問題がある。そこで、より簡便で確実性の高い大量増殖方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 茎頂由来無菌植物の葉柄を1mmの厚さに切断し、ショ糖40~50g/lとNAA0.1mg/l+BA0.5mg/lを添加したMS寒天培地上に置床する。
  2. 葉柄切片は葉身側の切断面を下にして培地上に置床(反転置床)する。不定芽分化率は切片を採取する葉の葉齢が若いほど、ショ糖濃度が高いほど優れる(表1、図1)。
  3. 葉長が10~15mm以上に生長した不定芽を滅菌されたセル成型トレイの穴に葉柄切片を付けたまま1切片ずつ置床する。トレイはプラスチック製の箱に入れ、液体培地を1cmの深さまで加え、フィルム袋で包装し密閉する。
  4. ショ糖30g/lを添加した標準濃度のMS液体培地(以下MS1/1)にNAA0.1mg/lを添加すると、不定芽からの発根が早く、発根率も高い(表2)。
  5. 発根用液体培地はアンモニア態窒素を除いたMS培地(MS-NH4NO3)が、不定芽の草高の伸長や発根率において優れる(表3)。
  6. 以上の操作手順に従えば、葉柄切片の不定芽分化率と不定芽の発根率はともに90%以上となり、切片の置床から80日~100日で発根した培養苗が得られる。
成果の活用面・留意点
  1. 無菌植物の茎頂部分は採取しないので、葉柄を切り取った残りの個体から1か月後には再び葉柄を採取することができる。「カルス増殖法」とは異なり、切片の採取時に葉柄の長さから最終的に得られる培養苗数が予測できるので、増殖計画を立てやすい。
  2. 不定芽分化用培地に添加するホルモン濃度として、NAAは0.1~0.4mg/l、BAは0.2~5.0mg/lの範囲の組み合わせで不定芽分化率は何れも高かったが、培養変異の影響を避けるため、薄い濃度の組み合わせの方が好ましい。
図表1 216328-1.gif
図表2 216328-2.gif
図表3 216328-3.gif
図表4 216328-4.gif
カテゴリ ふき

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