タイトル |
セル成型苗育苗用の秤量計測法を利用した潅水システム |
担当機関 |
茨城県農業総合センター |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
セル成型苗の重量変化に基づいて自動的に潅水を開始できる、台ばかりを利用した簡便なスイッチを開発した。市販の自走式頭上噴霧装置に取り付けることにより、育苗ベンチ毎に設定の異なる潅水を行ない、良質の苗を生産することができる。
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背景・ねらい |
蒸発散による育苗トレイの重量変化に基づいて潅水する方法は、苗生産における潅水の指標として有望であることが示されている。しかし、苗の生育段階や品種によって、蒸発散量が異なるため、一つの潅水装置で一律に潅水することは適当ではない。そこで、市販の頭上噴霧潅水装置を利用して潅水の自動化を図るため、育苗ベンチ毎に潅水量を調節できる潅水システムを確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 潅水システムは、開発したスイッチと、市販の自走式頭上噴霧潅水装置により構成される。このスイッチは、潅水を行なう時間帯を設定するためのタイマーと、苗,培養土及び苗トレイを含む育苗トレイ全体の重量を測定する台ばかりから構成され、潅水の切り替えは、タイマーで制御された電磁弁で行なう(図1)。
- 台ばかり上の育苗トレイの重量が蒸発散により減少すると、台ばかりに取り付けられた触覚スイッチに指針が触れる。この台ばかりが設置されている列が、潅水される時間帯にあった場合、潅水が開始される(図2)。1ベンチにつき1箇所の秤量計測で、ベンチ全体への均一な潅水が可能であるが、苗の生長に伴って潅水開始点を補正する必要があり、その補正は手動で行なう。補正回数は育苗期間を通して1~2回である。
- 本システムを用いることにより、同一温室内において、ベンチ毎に潅水開始点を設定することができる(図3)。さらに、自走式頭上噴霧装置の移動速度を変更することで、潅水量も調節することが可能である。
- 本スイッチを用いて潅水したハクサイ苗(黄ごころ65)を、タイマーのみによる自動潅水の苗と比較すると、やや小振りで徒長の無い良質な苗が生産でき(表1)、収量及び品質は同等である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 開発したスイッチは、市販されている自走式頭上噴霧装置に取り付け可能である。
- セルトレイに培養土を均一に詰めることが重要なポイントである。
- 開発したスイッチに必要な経費は、1ベンチあたり約18,000円である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
育苗
はくさい
品種
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