タイトル |
ジャガイモの生理障害(イモ芯部の空洞・褐変)の発生要因と対策 |
担当機関 |
東京都農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
春作ジャガイモにおいて空洞や褐変等の生理障害が、大きな塊茎の内髄部に発 生する。茎葉が黄変する前の段階では、収穫約10日前までの日照不足や高温が障害の発生を助長する。対策としては、早掘りを避けるとともに晴天が続いてから収穫を行う。また、2~3本仕立てを行い、イモ数を増加させることも有効である。
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背景・ねらい |
東京都には約400haのジャガイモの作付があり、直売には欠かせない野菜の1つである。しかし、都内全域の春作において、イモ(塊茎)の中心部(内髄)に空洞や褐変などの生理障害が発生し、問題となっている。そこで、生理障害の発生要因と対策を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 空洞は180g以上のイモに発生する。褐変は大きなイモほど発生率が高い。また、収穫時期別にみると、塊茎肥大期(6月12日)では過半数のイモに発生し、肥大終期(6月22日)には減少するが、曇天日が続いた後は再び増加し、茎葉が黄化した7月12日には最も少なくなる(表1)。
- 遮光、高温および摘葉処理を行った場合、収量は、遮光を長期間した区で低下するが、高温や摘葉処理では大差がない(図1)。空洞の発生は、処理に関わらず3%以下であるが、褐変の発生は、無処理に対して80%遮光/短期区と高温/短期区が高い。つまり、収穫10日前までの間に極端な低日照や高温条件を与えると褐変は多発する。また、茎葉の発育を早期から抑えると、塊茎肥大が抑えられ、結果的に褐変は少なくなる(図2)。
- マルチ栽培や芽かきを行い1本仕立てとした場合、生理障害の発生は増加する(表2)。
- 障害イモの発生には品種間差がみられ、空洞は「セトユタカ」>「男爵」「キタアカリ」>「メークイン」「ホッカイコガネ」、褐変は「男爵」「キタアカリ」>「セトユタカ」>「メークイン」「ホッカイコガネ」の順で発生が多い(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 春作ジャガイモでは、生理障害を回避するために基本的には2~3本仕立てとする。
- 収穫は、地上部が枯死してから行う。早掘りする場合、褐変症状の発生は避けられないが、晴天が続いてから収穫することにより発生を軽減できる。
- 180g以上のイモを販売や出荷する場合は、抽出検査をして、内部の状態を確かめる。
- 大きなイモが求められる場合は、生理障害が発生しにくい品種を利用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
出荷調整
生理障害
春作
ばれいしょ
品種
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