生分解性ポットとエブアンドフローを組み合わせたシクラメン栽培法

タイトル 生分解性ポットとエブアンドフローを組み合わせたシクラメン栽培法
担当機関 千葉県農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 通気性のある生分解性プラスチック素材で成型したポットと、鉢土が過湿になりがちなエブアンドフローを組み合わせて用いることにより、かん水と鉢替え作業が省力化でき、育成鉢の廃棄処分を必要としないシクラメン栽培が可能となる。
背景・ねらい シクラメン栽培で底面給水方法の一つであるエブアンドフローによるかん水が増加しつつある。しかし、黒ボク土の心土(通称赤土)や腐葉土を主体とした従来の培養土では吸水量が多く、根圏が過湿になり生育が劣る。千葉県内の生産者は、出荷後の品質を考慮し、加湿を回避できるような孔隙率の高い培養土を使用しない傾向が強い。また、かん水の省力化による規模拡大が進み、大量に使用される育成鉢の処分が、環境保全が叫ばれるなかで困難になってきている。そこで、通気性を有した生分解性プラスチックポットを利用し、エブアンドフロー方式のシクラメン栽培法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 生分解性プラスチック鉢の素材は、脂肪族ポリエステル系の樹脂とパルプからなり、PVA(ポリビニールアルコール)の塗布量を変えて分解速度を調節しているため、長期間の栽培にも耐えられる。
  2. 開花数と葉数はエブアンドフロー+生分解性プラスチックポットと、手かん水+ポリ
    ポット間で差がない。最大葉長は手かん水+ポリポット区で有意に短くなる(表2)。
  3. 鉢素材の違いによって鉢土温度が異なる。5、8、11月の最高、最低、平均鉢土温度はいずれもポリポットで高い。生分解性プラスチックポットの最高鉢土温度は8月でも30℃を下回り、シクラメンの生育にプラスとなる。この生分解性プラスチック素材は通気性を有し、鉢側面からの水分の蒸発があるため、気化熱により鉢土温度の上昇が抑制される。気温が低下してくる11月では、生分解性プラスチックポットの平均鉢土温度は16℃台となり、加温設定温度(18℃)よりも若干低めとなるが、生育への影響はない(表2、表3)。
  4. 栽培終了時に埋め込んだ生分解性プラスチック素材の3号ポットは、素材が完全に分解せずにポット内に残るが、根は貫通して5号ポット内の培養土に充分伸長する。
成果の活用面・留意点 開発した生分解性プラスチックポットは底面給水での長期の栽培に充分に耐え、ベンチ接地面でも崩壊は全くないが、液肥の影響により藻が鉢側面に付くため出荷時には化粧鉢で覆う必要がある。単価は9cm径が26円、15cm径が50円程度の予定。
図表1 216358-1.gif
図表2 216358-2.gif
図表3 216358-3.gif
カテゴリ 規模拡大 シクラメン 出荷調整 省力化

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