タイトル |
高圧細霧冷房によるシンビジウムの生育・開花促進効果 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
夏期にポンプ圧力7MPaの高圧細霧冷房装置を湿度制御で運転すると、50%遮光下の戸外に比べ室温は5℃程度低下する。その結果、シンビジウム偽球茎の肥大は良好になり、開花は2週間程度促進する。
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背景・ねらい |
シンビジウム栽培では、苗の生育促進、ブラインド防止及び開花促進のため、標高900m前後の高冷地へ株を運搬し、その地で6月中旬から10月上旬まで管理する「山上げ」が広く行われている。この方法は鉢植え株の積み下ろしが重労働で、山上げ用地や施設の確保、維持に多くの経費がかかる。生産温室で山上げと同等の効果を上げれば経営的に有利である。そこで、7MPaの高圧細霧冷房の下温効果とシンビジウムの生育・開花促進効果について明らかにし、山上げの代替技術としての可否を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 相対湿度76%で作動、85%で停止するよう細霧冷房を運転すると、7月下旬~9月上旬における細霧冷房室の旬別平均日最高気温は、山上げ地と同じとなる。7月~9月の調査期間中の平均日最高気温は細霧冷房室が29℃で、戸外(50%遮光)より2℃低く、山上げ地より2℃高くなる。また、平均日最低気温は23℃で、戸外と変わらない(表1)。
- 同一時刻に測定した戸外と細霧冷房室気温の差を日最大値とし、月別に平均すると、細霧冷房によって気温は戸外より3.5~5℃ほど低下する(表2)。
- CP(Community Plants)苗を鉢上げ後1年間養成した苗では、細霧冷房することにより葉の伸長と偽球茎の肥大が促進される。この生長程度は山上げと同等である(表3)。
- CP苗を鉢上げ後2年間養成した開花当年株では、細霧冷房により開花が12月末となる。戸外に比べ2週間程度早まるが、山上げより3週間程度遅れる。花茎数、小花数、花飛び花茎数などにはいずれの栽培法も差が認められない(表4)。
- 以上のことから、高圧細霧冷房は山上げに匹敵する生育促進効果をもつと思われるが、開花当年株では開花促進効果は認められるものの、12月中旬開花を目指す場合の代替技術としては不十分である。
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成果の活用面・留意点 |
- ランニングコストは電気代のみで3.3m2当たり162円/月、初期投資額は3.3m2当たり約6,000円を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
シンビジウム
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