タイトル |
水耕栽培によるイチゴ萎黄病抵抗性の検定法 |
担当機関 |
三重県科学技術振興センター |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
イチゴの育種選抜過程において、萎黄病抵抗性検定を水耕栽培により行う方法は、病原菌の接種量の均一化や発病に適した管理が容易であり、検定期間が約1か月と短い。土耕栽培による検定に比べ、高精度化、効率化を図ることができる。
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背景・ねらい |
イチゴの育種目標として高品質に加え、難防除病害である萎黄病の抵抗性品種の育成が求められており、育種選抜過程において本病の抵抗性程度の判定を効率的で高精度に行うことができる検定方法の開発が必要となっている。従来の土耕栽培による抵抗性検定方法では、発病がばらつきやすいこと、検定期間が2か月程度かかること等問題があった。そこで水耕栽培を利用した高精度で効率的な検定方法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ポット育苗した検定苗の根を洗い、萎黄病菌胞子懸濁液に浸根接種(25℃、24時間)後、水耕栽培で萎黄病抵抗性の程度を判定する検定方法を考案した。
- 水耕栽培装置は、培養液槽、苗を固定する発泡スチロール板およびエアーレーションを行うエアーポンプを使用する。液温の調整はサーモスタットに接続したヒーターにより行う(図1)。
- 本法における病原菌の接種菌密度と液温の関係を調査したところ、抵抗性強(「芳玉」級)の選抜には、病原菌密度は10,000bud-cells/mlとし、液温は25℃が適している。また、抵抗性中(「女峰」級)以上の選抜には同じ菌密度で、液温は20℃が適している(図2)。
- 抵抗性検定に要する期間は、土耕栽培では約2か月程度であるのに対し、本法は約1か月と短く、検定期間の短縮を図ることができる(図3)。
- 本法は、検定苗を同時に胞子懸濁液に浸根接種するため病原菌の均一な接種が可能であり、発病に適した液温管理が容易である。また、水耕栽培であることから根圏を含む液槽中の環境を均一に管理することができる。さらに水耕装置の規模を大きくすることにより、多数の苗について検定が可能である
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成果の活用面・留意点 |
- イチゴ萎黄病抵抗性品種の効率的な育種選抜に活用できる。
- 液温が30℃以上になる条件では、抵抗性強の品種においても発病が認められるため、検定を行わない。
- 検定苗の生育ステージを揃え、抵抗性の指標となる品種を同時に供する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
萎黄病
育種
育苗
いちご
水耕栽培
抵抗性
抵抗性検定
抵抗性品種
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防除
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