タイトル |
各種有用微生物を用いたトマトとホウレンソウのFusarium |
担当機関 |
岐阜県農業技術研究所 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
植物生育促進菌類(PGPF)、Humicola 菌を育苗期に処理することによりトマト萎凋病、根腐萎凋病及びホウレンソウ萎凋病の発病が抑制される。
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背景・ねらい |
トマトとホウレンソウの生産現場では土壌病害が重大な被害をもたらし、これら作物生産の主要な阻害要因となっている。その対策としては従来主として農薬を用いた土壌消毒が行われてきた。しかし、養液栽培など新たな栽培方式の導入や環境保全型農業推進などの観点から、農薬を使用しない防除技術に対する注目が高まっている。そこで、岐阜大学所有のキュウリ、トマト等の生育を促進する作用を有する植物生育促進菌類(Plant Growth Promoting Fungi、以下PGPFと称す)等の有用微生物を利用し生物防除技術について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 各有用微生物の胞子懸濁液(105~107spores/ml)を播種時にロックウール(36×36×40 mm)に20ml処理し、約25日間後の移植時にロックウールキューブ(75×75×65mm)に200ml処理した。移植7日後に萎凋病菌(105bud-cells/ml)をロックウールキューブに200ml接種した後、養液施設温室で管理しその後の発病を調査した。その結果、PGPFのFusarium equiseti (菌株名:GF191), Humicola grisea var. grisea (M6834) は非病原性Fusarium (F13) と同様に高い発病抑制効果を示し、養液栽培におけるトマト萎凋病の防除に有効である(表1)。
- 同様に、養液栽培のトマト根腐萎凋病の防除にPGPFのFusarium equiseti(GF191),Phoma sp. (GS81) 及び Humicola grisea var. grisea (M6834)は、非病原性Fusarium(F13)と同様に有効であり、その発病抑制効果は病原菌接種後90日から120日間期待できる(表2)。
- 培養土約25gを入れたペーパーポットに各有用微生物の胞子懸濁液(105~107spores/ml)をそれぞれ10ml処理した後、ホウレンソウを播種した。約14日間育苗後、萎凋病菌密度を104cfu/gに調整した汚染土に移植し、その後の発病を調査した。その結果、PGPFの Penicillium simplicissimum (GP172)、 PGPFの Fusarium equiseti (GF183) 及びHumicola grisea var. grisea (M6834)は非病原性Fusarium (F13)と同様に土耕栽培のホウレンソウ萎凋病防除に有効である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 資材化、処理方法は今後の検討が必要である。
- Humicola grisea var. grisea については高温期に処理した場合、効果が低い場合があるので注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
きゅうり
土壌消毒
トマト
農薬
播種
防除
ほうれんそう
養液栽培
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