タイトル |
日本ナシ「幸水」の窒素吸収特性に基づく効率的施肥法 |
担当機関 |
茨城県農業総合センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
日本ナシ「幸水」の地上部新生器官における窒素吸収量は、満開期から収穫期にかけて、ほぼ直線的に増加する。この特性に基づき、総窒素施肥量の3割を果実肥大期に追肥することにより、現在の基準である基肥主体の施肥法と比較し、2割の窒素減肥が可能である。
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背景・ねらい |
近年、茨城県における日本ナシの主力品種「幸水」は生産性が低く、これを補うため窒素施肥量が増加している。このため、ナシ園における地下水の硝酸汚染が懸念され、「幸水」の施肥改善が求められている。本県の「幸水」に対する施肥基準では、品質重視の観点から、果実糖度低下の要因とされている果実肥大期の追肥を施用しない、基肥主体の施肥法がとられている。しかし、これは「二十世紀」の知見を基に、策定されたものである。そこで、「幸水」の窒素吸収特性を調査し、これに基づく効率的施肥法を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 「幸水」の地上部新生器官における窒素吸収量はピーク時で13.6g/樹冠m2で、満開期から収穫期にかけてほぼ直線的に増加し、生育初期の吸収量が多い「ゴールド二十世紀」とは異なる経過を示す(図1)。
- 「幸水」の窒素吸収特性に基づき、総窒素施肥量の2割を果実肥大期(5月下旬)に追肥する施肥法について検討した結果、基肥主体の施肥法と比較し収量、果実品質で大きな差は認められなかった。しかし、窒素施肥量を2割減らした区では、1果重が低下する傾向がみられた(表1・試験A)。
- 総窒素施肥量の3割を、果実肥大期に2回に分けて(5月上旬及び6月上旬)追肥する施肥法について検討した結果、窒素施肥量を2割減らしても、1果重は440gと基準施肥量と同等であり、収量及び果実品質の低下も認められなかった(表1・試験B)。
- 以上の結果、「幸水」では総窒素施肥量を基肥(落葉期):追肥1(5月上旬):追肥2(6月上旬):礼肥(9月)=5:1.5:1.5:2に分施する施肥法により、現在の基準である基肥主体の施肥法と比較し、2割の窒素減肥が可能である。
- なお、本調査園は試験区を除き、現在の施肥基準量(表1)の窒素が施肥されている。ここでの地下水位は1.4~1.9mで、地下水の硝酸態窒素濃度は4.9~8.9mg/Lであり、環境基準の10mg/L以下であった(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は表層腐植質黒ボク土の雑草草生園における、樹勢が中程度な「幸水」の若木を対象としたものである。
- 本調査園における地下水中硝酸態窒素濃度の最大値は、環境基準に近いことから、現基準量以上の窒素施肥は注意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
雑草
施肥
日本なし
品種
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