野菜栽培における黒ボク土での交換性マグネシウムおよびカリウム含量の適正範囲

タイトル 野菜栽培における黒ボク土での交換性マグネシウムおよびカリウム含量の適正範囲
担当機関 千葉県農業試験場
研究期間 1999~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 野菜栽培における黒ボク土での交換性マグネシウムおよびカリウム含量の適正範囲は、MgO飽和度8~16%、K2O飽和度2~10%である。
背景・ねらい 千葉県内の土壌実態調査から、黒ボク土普通畑の交換性マグネシウム(MgO)含量は現行の診断基準値の飽和度12~22%に対し8%と低く、黒ボク土の交換性カリウム(K2O)含量の平均値は飽和度4%で、診断基準値の上限にある。またMgO/K2O当量比は1.3と、基準値である2以上を下回っている。そこで、黒ボク土において、野菜類の交換性マグネシウムおよびカリウム含量の適正範囲を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 表層腐植質黒ボク土において、交換性MgO飽和度および交換性K2O飽和度と収量の関係から、①飽和度によって収量がほとんど変化しない(スイートコーン、トマト、キャベツ)、②MgO飽和度8~20%、K2O飽和度2~16%付近で最大収量が得られる(コカブ、キュウリ、ニンジン、ダイコン)、③飽和度の上昇に伴って収量が増加する(ホウレンソウ)の3タイプに大別される。(図1)
  2. ダイコンなど多くの野菜では土壌中のMgO飽和度の上昇に従って葉のMg含有率は上昇するが(図2左)、トマトとホウレンソウでは飽和度が16%を超えると低下傾向を示す。MgO飽和度の上昇によって、コカブ、ダイコンでは葉のK含有率が低下するが(図2右)、他の野菜ではK含有率はあまり影響されない。K2O飽和度の上昇によって、ニンジンなど多くの野菜で葉のK含有率は上昇し、飽和度が12~16%を超えると頭打ちとなる(図3左)。キャベツ、コカブ、キュウリ、ニンジンではK2O飽和度の上昇に伴って葉のMg含有率が低下する(図3右)。トマトとホウレンソウではK2O飽和度12%前後でのMg含有率が最も高い。
  3. 土壌中の陽イオンバランスと収量の関係は、ホウレンソウ、ダイコンではCaO/MgO(当量比)12.5以上で、コカブ、ニンジンではMgO/K2O 0.75以下(当量比)で、減収傾向を示す(図4)。
  4. 野菜類全般の交換性マグネシウムおよびカリウム含量の適正範囲は、収量性からはMgO飽和度8~20%、K2O飽和度2~16%、葉内の養分吸収からはそれぞれ16%以下、12%以下と判断される。さらに陽イオンバランスから、MgO/K2O(当量比)が0.75を下回らないK2O飽和度は10%以下である。以上の結果から、交換性マグネシウムおよびカリウム含量の適正範囲をMgO飽和度で8~16%、K2O飽和度で2~10%と判断した。(表1)
成果の活用面・留意点 適正範囲は陽イオン飽和度で示されるので、実際の診断に当たっては、その土壌の陽イオン交換容量(CEC)を把握し、適正含量(土壌100gあたりのmg)を算出する。
図表1 216414-1.gif
図表2 216414-2.gif
図表3 216414-3.gif
図表4 216414-4.gif
図表5 216414-5.gif
カテゴリ かぶ キャベツ きゅうり だいこん トマト にんじん ほうれんそう 野菜栽培

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