タイトル |
紫外吸光度法を利用した土壌中硝酸態窒素の迅速測定法 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
土壌1gに0.01%の塩化アルミニウム溶液100mlを加え、浸とうろ過した溶液の210nmの吸光度から、硝酸態窒素含量が0.5~45mg/100gの範囲で測定できる。
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背景・ねらい |
持続的農業の推進や、硝酸イオンの地下水への流亡防止などの観点から、土壌診断の現場 で硝酸イオンを分析する必要性が高まっている。紫外域の吸光度を利用した測定は非常に 手軽な方法であるので、土壌中の硝酸態窒素の定量への適用性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 硝酸イオン濃度が0~20ppmの範囲で高くなると、210nm吸光度は0~2.8で直線的に
高くなる(図1)。定量限界は0.2ppmであり、紫外吸光度法では0.2~20ppmの範囲で硝 酸イオンを定量できる。
- 風乾土1gを水100mlで浸出した液の硝酸イオン濃度は、常法(銅・カドミウム還元-
ナフチルエチレンジアミン比色法)に比べて、紫外吸光度法では2~4ppm高くなる土壌が 多い(図2)。この浸出液には亜硝酸イオンが含まれないので、土壌粒子による濁りとタン パク質、アミノ酸、有機酸などの影響で、吸光度が高くなるものと推測される。
- 水の浄化で凝集剤として利用されている塩化アルミニウムの0.01%溶液で浸出すると、
紫外吸光度法による硝酸イオン濃度は、0.5ppm程度高いが常法に近い値となる(図3)。
- 以上から、風乾土1gに0.01%塩化アルミニウム(AlCl3・6H2O)溶液100mlを加え、
30分振とう後に、ろ過(ろ紙No.6)して得られた溶液の210nmの吸光度から、溶液中の 硝酸イオン濃度(NO3-)を0.2~20ppm、すなわち土壌中の硝酸態窒素含量(NO3-N) を0.5~45mg/100gの範囲で測定できる(溶液中の硝酸イオン濃度×2.26=土壌中の硝酸 態窒素含量)。測定値は常法より硝酸イオン濃度で0.5ppm、硝酸態窒素含量で1mg/100g 程度高くなる。
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成果の活用面・留意点 |
- 測定値は常法より若干高くなるが、土壌診断において次作の施肥量を算出する場合には
問題にならない程度である。
- 分解しやすい有機物が特に多い土壌(可給態窒素含量15mg/100g以上)では、硝酸イ
オン濃度は2ppm程度高くなる。
- 標準試料には、0.01%塩化アルミニウム溶液で、硝酸カリウムを溶解した硝酸イオン濃
度が0~20ppmの溶液を用いる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
施肥
土壌診断
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