成果の内容・特徴 |
- 被覆尿素施用区の浸透水の窒素(N)濃度は、作物栽培期間中には高度化成より低下したが、収穫後には上昇する場合がある。また、N溶脱量も多腐植質黒ボク土以外は高度化成区と同等であり、資材の利用には収穫以降のN溶脱への配慮も必要である(図1、表1)。
- 牛ふん堆肥加用及び牛ふん堆肥のみを倍量連用した場合は、化成肥料区よりN濃度、N溶脱量ともに増加したため、有機物中のN量を考慮した施肥が必要である(図1、表1)。
- 浸透水のN濃度は栽培作物により異なり、キャベツ、ダイコン、ラッカセイでは栽培期間中に低下したのに対し、レタス、ハネギは上昇傾向を示し、窒素負荷を助長した(図1)。
- 無窒素区のN濃度は夏期に上昇する傾向を示し、10mg/Lを超過する時期もみられた(図1)。
- 施肥区のN溶脱量はm2当たり46~98g程度であり、土層全体の地力が高い淡色黒ボク土で多い傾向を示した。しかし、無N区の溶脱量を差し引くと灰色低地土の溶脱量が最も多く、両黒ボク土はこれより低下し、保肥力の違いが反映されていた(表1)。
- タマネギ後作に無肥料でソルゴーを作付けると被覆尿素、牛ふん堆肥加用及び単独施用区のN回収量が多く、全処理区ともに浸透水のN濃度を顕著に低下させた(表1、図1)。
- 浸透水の年間平均N濃度は栽培作物により異なり、吸肥力の大きい作物栽培時に低濃度を示すため、N負荷軽減には吸肥特性を考慮した作付け体系や状況に応じた緑肥作物の導入等の総合的な対策が有効と考えられる(表1)。
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