環境保全に配慮した施設トマト栽培の労働評価

タイトル 環境保全に配慮した施設トマト栽培の労働評価
担当機関 神奈川県農業総合研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 施設トマトの環境保全に配慮した栽培として、減農薬・減化学肥料栽培を行い、防除、施肥、受粉に関わる作業の作業時間及び消費エネルギーを測定した。10a当たりの延べ作業時間及び消費エネルギーは、慣行栽培と比較して、施肥作業で多く、防除作業と受粉作業で少なくなることがわかった。
背景・ねらい 環境に配慮した施設トマト栽培技術として、化学肥料をぼかし等の有機質肥料に代替えする施肥法、天敵を利用する防除法、花粉媒介昆虫を利用した受粉法などが確立されてきている。ここでは、環境保全に配慮した栽培の普及を図るため、これらの技術を組み合わせて体系化した栽培を行い、作業時間、消費エネルギーから労働評価を行う。
成果の内容・特徴
  1. 環境保全に配慮した減農薬・減化学肥料栽培として、防除には天敵を導入し、施肥では有機質肥料の割合を高め、受粉にはマルハナバチを利用する。10~11年に行った半促成栽培(以下、半促成)と、11~12年に行った促成栽培(以下、促成)で評価する。(表1)
  2. 有機質肥料の割合を高めた施肥体系は、ぼかし堆肥作成作業が加わり、施用する肥料の重量が増加するため、慣行の施肥体系と比較して、労働負担は増加する。(表2、表3)
  3. 天敵を取り入れた防除体系は、慣行の薬剤散布のみの防除体系と比べ、労働負担を軽減できる。(表2,表3)特に全労働時間が長い収穫最盛期(4、5月)における時間短縮は経営上メリットがある。
  4. 花粉媒介昆虫マルハナバチを利用する受粉体系はホルモン処理の受粉体系と比べ、労働負担は大幅に少なくなる。(表2,表3)
  5. 施肥、防除、受粉を合計すると、環境保全に配慮した栽培の10a当たりの延べ作業時間は半促成では30.4 hr、促成では64.1 hrとなり、それぞれ慣行栽培の28%、54%となる。消費エネルギーは半促成では4,942 kcal、促成では10,249 kcalとなり、それぞれ慣行栽培の35%、53%となる。(表3)
成果の活用面・留意点
  1. 環境保全に配慮した栽培で経営する場合、労働時間及び労働負担は慣行栽培と比較して、定植前に増加し、定植後に減少することに考慮する。
  2. 環境保全に配慮した栽培は、マルハナバチ利用のため、夜温設定が慣行栽培より2℃高くなる。
  3. 環境保全に配慮した栽培で、慣行栽培より特に多い病害虫の発生はなかった。
図表1 216440-1.gif
図表2 216440-2.gif
図表3 216440-3.gif
カテゴリ 土づくり 肥料 病害虫 害虫 経営管理 栽培技術 受粉 施肥 トマト 農薬 防除 マルハナバチ 薬剤

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