タイトル |
少量高頻度潅水を特徴とした施設園芸用自動潅水制御器 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
開発した自動潅水制御器は、メロン栽培では1回に株当たり100~150ccで1日最高18回の『少量高頻度潅水』を行うが、従来の水切りと異なる潅水制御により収量を落とすことなく高品質な生産ができ、減肥・節水の環境保全型農業を実現する。
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背景・ねらい |
養液土耕栽培の潅水は、早朝に1日分の肥料を液肥潅水によって与えた後から夕刻まで行うが、現場で使用されている潅水制御器は、親タイマー(潅水時刻)と子タイマー(潅水時間)とによる方法で、天候、圃場条件、作物生育条件に追従しないため、過剰潅水や水分不足による品質の低下が生じている。そこで、高品質生産を目的とした、正確、迅速、簡単な土壌水分センサを使用する自動潅水制御器(図1、価格12万円)を開発した。
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成果の内容・特徴 |
- 自動潅水制御器は、親・子・休止の3つのタイマーと、0~5V出力の土壌水分センサの上限(潅水開始点)を設定するボリュームを持ち、これによって、潅水時間帯、潅水時間、潅水後の浸透のための休止時間、生育ステージ別の制御水分域を任意に設定できる。
- 新たに開発した圧力変換器付きテンシオメータ(以下pFメータ)は、溶脱空気量が少なく排気手間がかからず、-950cm(pF2.97) まで±2%誤差以下の高精度で計測できる。
- pFメータは株間20cmの中央15cm深さに設置し、比較のため根の影響が無いように防根シートでpFメータの周囲(直径114mm )を覆った場合も測定したが、両者の動きは非常に異なり、その差は根の吸水力に起因する(図2)。pFメータは、土壌水分と根の吸水力とによる根圏域の全水分張力を示し、作物の生態情報を得る重要なセンサである。
- メロン栽培(定植5/8、収穫8/2、品種アイソフィ)では、生育ステージ別に潅水条件(pF値)を設定して、8~17時間帯に、pFメータの上限に達したら2~3分の少量潅水(100~150cc/株)を行い、30分休止後のpFメータの検出値により再潅水の作動判別を行って1日最高18回の潅水をしたが、少量高頻度潅水制御は従来の水切りとは全く異なる穏やかな水ストレスを作物に与え(図3)、高収量化、高品質化を実現できる(表1)。
- 自動潅水制御器で潅水制御される養液土耕区の土壌ECは、元肥施用して、天候によって1日1回の潅水時間を調節する慣行区より非常に小さな値で維持されるうえ(図3)、少量高頻度潅水は過剰潅水による肥料等の溶脱が無いので環境保全型農業を実現する。
- 養液土耕区と慣行区は共に隔離ベッド栽培であり、自動潅水制御器による潅水は、盛夏で2.5L/株/日にも及ぶが、慣行区より節水(表1)と省力化が図られ、日射量変化に類似した潅水パターンを示して気象、圃場、作物生育条件に応じた制御ができる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
pF設定値は、栄養成長期では低めの1.8~2、生殖成長期では高めの2.4~2.9とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
栽培技術
施設園芸
省力化
品種
メロン
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