牛性判別胚のガラス化保存及び移植方法

タイトル 牛性判別胚のガラス化保存及び移植方法
担当機関 神奈川畜研
研究期間 1998~2002
研究担当者 岸井誠男
橋村慎二
仲澤慶紀
田中嘉州
発行年度 2001
要約 牛胚をバイオプシー後にPCR法により性判別し、残る胚本体を各種の凍結法で凍結融解後移植することによって、実用化を期待できる受胎率が得られた。
キーワード 牛、性判別、凍結、ガラス化
背景・ねらい 近年、PCR法を用いた牛の雌雄産み分けが可能となった。この技術では受精卵の段階で性別を判断することができ、改良増殖の効率化と経営の安定化を図ることが出来る。しかし、PCR法を用いた牛の性判別には胚の切断を行う必要があり、バイオプシー後の胚の受胎性、特に凍結胚での安定した受胎成績を得ることが、技術実用化のためには重要な課題として挙げられる。そこで、性判別胚の効果的な凍結法の開発を目指し、ガラス化法が受胎性に及ぼす影響を検討した。
成果の内容・特徴
  1. ガラス化保存は、融解及び移植法の違いにより、ステップワイズ法(GS法)、ワンステップ法(G0-S法)、ワンステップ直接移植法(G0-D法)の3通りとした。凍結手法は、石森ら(1992)の方法に準じ実施した。切断後、約4時間修復培養の後胚を50%濃度のVSED(25%エチレングリコール、25%ジメチルスルホキシド/4mg/mlBSA加D-PBS)に60 秒間平衡した後、VSED(100%濃度)に移し、移動直後から約30秒以内に0.25mlプラスチックストローへ充填し、約30秒程度の経過を待って液体窒素ガス中に静置し、3分後に液体窒素中に浸漬し保存した。ストロー内構成は、GS法は図1に、G0-S・G0-D法は図2に示した。これらの操作はすべて室温下で実施した。
  2. 加温融解は、まず液体窒素からストローを取り出し、空気中で約5秒間保持後、20℃の 水中に入れ氷晶が消えるまで保持し、すばやくストロー内の各層を混合した。その後、GS法はシャーレに取り出し4分間保持し、2分ずつ4%、0%グリセリン液に胚を移しながらグリセリン除去を行った。G0-S・G0-D法は混合後20℃の水中に再び戻し、綿栓部を上に向け垂直に立てて3分間保持した。
  3. 移植は、GS法及びG0-S法で融解処理後、生存性を確認しストローに再充填し移植を行い、GO-D法は、融解処理後ただちに受卵牛への移植を行った。
  4. 切断胚(性判別のために必要とされる胚の一部切断処理を行った胚)のガラス化後の生存性は、無処置胚と有意な差は認められなかった(表1)。
  5. ガラス化保存を行った性判別胚の移植後の受胎率は、融解方法による差はなく、新鮮胚と同等の受胎率が得られた(表2)。また、GO-D法においても比較的高い受胎率(45.5%)であった。
成果の活用面・留意点
  1. 本法により、凍結後でも性判別胚の安定した受胎率が得られる。
  2. フィールドでの簡易的移植法を想定した、ワンステップ直接移植法では、比較的高い受胎率を得ることができたが、例数が少ないために今後追加調査を行う。

図表1 216464-1.gif
図表2 216464-2.gif
図表3 216464-3.gif
図表4 216464-4.gif
カテゴリ 経営管理

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