タイトル |
消化性に優れるソルガム新品種「秋立」 |
担当機関 |
長野県畜産試験場 |
研究期間 |
1992~2000 |
研究担当者 |
春日重光
海内裕和
我有満
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発行年度 |
2001 |
要約 |
高消化性遺伝子“bmr-18”を持つソルガムF1品種「秋立」を育成した。本品種は、晩生で、bmr-18遺伝子を持つ系統としては多収で耐倒伏性に優れ、サイレージの栄養価および嗜好性も優れている。寒冷地域南部から中部地域の標高1000m以下の地域を適地として高品質サイレージ用品種として普及が期待される。
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キーワード |
ソルガム、高消化性遺伝子、bmr-18遺伝子、栄養価、嗜好性、晩生
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背景・ねらい |
ソルガムは遺伝的な変異が大きく、優れた乾物生産性、環境適応性、再生力などの特性を持つ。しかし、同じ長大型飼料作物のとうもろこしと比較して、茎葉部の消化性、サイレージの発酵品質、家畜の嗜好性などに劣ることが問題とされてきた。そこで、茎葉部のリグニン形成を抑制する高消化性遺伝子“bmr-18”を導入することによって、茎葉部の消化性や家畜の嗜好性に優れたF1品種を育成しようとした。
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成果の内容・特徴 |
- 「秋立」は、高消化性遺伝子“bmr-18”を持つソルゴー型ソルガムで、出穂期は「KCS-105」より遅く、早晩性は晩生である(表1)。
- サイレージの発酵品質は良好で、その消化性・嗜好性および栄養価は「KCS-105」より優れ、「葉月」並である(表1、図1)。
- 原料草茎葉部の構造性物質(繊維)の消化性は「葉月」並かやや高く、「KCS-105」より優れる(表1、図1)。
- 試験期間中の平均乾物収量は「KCS-105」対比78%、「葉月」対比145%で、bmr遺伝子を持つ系統としては多収である(表1、図2)。
- 平均乾物穂重割合は「KCS-105」に比べ3%程度、「葉月」より20%低い。乾物率は「KCS-105」並で、茎の乾汁性は汁性である(表1)。
- 耐倒伏性は、「KCS-105」、「葉月」より優れる(表1)。
- すす紋病抵抗性、紋枯病抵抗性および条斑細菌病抵抗性は「KCS-105」並かやや劣り、「葉月」より優れる。紫斑点病には罹病性で、その発病程度は「葉月」並で、判定は「極弱」である(表1)。
- アブラムシの発生程度は「KCS-105」、「葉月」より多い。アワノメイガによる被害程度は「KCS-105」よりやや少なく、「葉月」より少ない。鳥害の発生程度は「KCS-105」より少なく、「葉月」並である(表1)。
- 初期生育は「KCS-105」、「葉月」並で、稈長は「KCS-105」より低く、「葉月」より高い。稈径は「KCS-105」並で、「葉月」より太い(表1)。
- 3ヶ年平均のF1精選種子重は26.7kg/aで、採種性は実用レベルにある(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 寒冷地南部から中部地域の標高1000m以下の地域を適地とする。
- 平均気温15℃以上で早播きする。晩播栽培には適さない。栽植密度は1667本/a程度とし、播種量は10アール当たり500~800gとする。紫斑点病多発地帯での栽培は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
あわ
飼料作物
新品種
ソルガム
鳥害
抵抗性
とうもろこし
播種
品種
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