ウシの栄養膜小胞の凍結保存

タイトル ウシの栄養膜小胞の凍結保存
担当機関 (家畜改良セ
研究期間 1999~2003
研究担当者 横田昌巳
宮地利江(福井県畜産試験場)
橋谷田豊(家畜改良センター)
近藤守人
戸塚豊(茨城県畜産センター)
高橋昌志(畜産草地研究所)
市野清博
小財千明
上村佳代(奈良県畜産試験場)
菅原徹
谷口雅律(熊本県農業研究センター畜産研究所)
竹下和久(山口県畜産試験場)
渡辺晃行
藤井満貴
発行年度 2001
要約 ウシの栄養膜小胞(Trophoblastic vesicle、TBV)は、受精卵移植における受胎率を向上させる可能性のあるインターフェロンτを産生するが、凍結保護剤としてエチレングリコールなどを用いた緩慢冷却法により凍結保存することが可能である。
キーワード 栄養膜小胞、受胎率、緩慢冷却法、凍結保存、エチレングリコール、インターフェロンτ
背景・ねらい ウシの受精卵移植技術の普及には50%台の受胎率をさらに向上させる必要がある。最近、着床期胚の栄養膜細胞(Trophoblast)が産生するインターフェロンτが妊娠維持に重要な役割を果たしている可能性が報告されている。さらに栄養膜細胞を細切し、短時間培養後に形成される栄養膜小胞(Trophoblastic vesicle、以下TBV)を胚と共移植することにより、受胎率向上の可能性も報告されている。しかしTBVを胚と共移植するためには、TBVが常時使えるものがあることや、TBVと胚を同時に凍結保存できることが望ましいが、TBVの凍結保存については十分な知見が得られていない。
成果の内容・特徴

  1. 凍結方法は、ウシ胚の凍結で使われている緩慢冷却法で行ない、その際凍結の可否に最も影響があるといわれる凍結保護剤について検討した。検討した凍結保護剤は以下の3種類である。
    ・1.8Mエチレングリコール(EG区)、
    ・1.8Mエチレングリコール +0.1Mシュークロース(SUC区)
    ・1.8Mエチレングリコール +0.1Mトレハロース(TRE区)
    これらの凍結保護剤に栄養膜小胞を投入し、0.25ml容量のプラスチックミニチュアストローに吸引封入した。凍結及び融解の具体的手順は表1に示した。
  2. 融解した栄養膜小胞を、20%子ウシ血清添加TCM199培地に5%CO2、95%空気、38.5℃の条件で48時間培養して小胞の再形成の状況を調査した。EG区、SUC区、TRE区のいずれにおいても、融解した栄養膜小胞は培養開始後48時間までに80%以上が小胞を再形成し、凍結保護剤間に統計的有意差は認められなかった(表2)。したがってTBVはウシ胚の凍結で使われているエチレングリコールなどを凍結保護剤とした用いた緩慢冷却法で凍結保存が可能である。
成果の活用面・留意点 TBVの凍結保存が可能となったことから、TBVと胚とを同一ストロー内で凍結保存することや、インターフェロンτの機能解明などにより、ウシの受精卵移植における受胎率向上に向けた技術開発に広く利用できる。
図表1 216512-1.gif
図表2 216512-2.gif
カテゴリ 受精卵移植 受胎率向上

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