タイトル |
豚肉の保存期間中における核酸関連物質含量の推移 |
担当機関 |
静岡県中小家畜試 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
河原崎達雄
赤松裕久
知久幹夫
堀内篤
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発行年度 |
2001 |
要約 |
豚肉を4℃で保存したときの核酸関連物質含量の推移から、保存日数と修正K値(mK値)の回帰式を得た。市販肉におけるイノシン酸含量は国産肉で4.20μmol/g、輸入肉で1.55μmol/gと国産肉で高かった。
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キーワード |
豚肉、核酸関連物質、保存、イノシン酸、国産肉、輸入肉
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背景・ねらい |
試験研究における豚肉質の評価は、と殺後24時間から48時間の筋肉材料を用いて調査するのが一般的で、熟成効果の評価は十分とはいえない。また、消費者が購入している豚肉の保存期間および保存条件を知ることは不可能に近い。したがって市販豚肉の保存期間がどの程度かを推定できれば、肉質評価の参考となる。 そこで豚肉の核酸関連物質含量を指標とした保存期間の推定が可能であるかを検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 三元交雑豚(WLD)12頭およびデュロック種8頭の腰椎部胸最長筋をポリエチレン製の袋に入れ吸引脱気後、4℃の冷蔵庫で貯蔵して核酸関連物質含量を経時的に調査した。また、県内のスーパーマーケットで販売されている国産肉およびアメリカ産輸入肉の核酸関連物質含量を調査した。核酸関連物質は定法によりアデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン一リン酸(AMP)、イノシン酸(IMP)、イノシン(HxR)、ヒポキサンチン(Hx)を測定した。
- 赤肉中のATP、ADPおよびAMP含量は、0.2μmol/g前後で推移し、と殺後1日から18日目の保存期間で変化は少なかった。しかし、IMP含量は、と殺1日目で最高濃度を示し保存期間とともに減少し、HxRおよびHx含量は経過時間とともに増加した(図1)。
- 魚介類や牛肉の鮮度指標としてK値が用いられているが、豚肉の核酸関連物質含量の推移からすると保存期間中の変動が少ないATP、ADP、AMPを除くIMP、HxRおよびHxの比による修正K値(mK値、(1)式)の方が鮮度指標として有効と思われた(図2)。
mK値(%)=(HxR+Hx)÷(IMP+HxR+Hx)×100・・・・(1) - 保存日数とmK値に有意な相関が認められ、4℃に保存したときの保存日数を推定する次式を得た(図2)。
推定保存日数(日)=-0.811+0.33mK(%)+0.003mK(%)2 (R2=0.881)・・(2) - 市販肉のIMP含量は国産肉で4.20μmol/g、輸入肉で1.55μmol/gと国産肉で有意に高かった(P<0.001)。
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成果の活用面・留意点 |
核酸関連物質の分解は保存条件に大きく影響されるため、作成した回帰式は本研究の保存条件と異なる場合は適用できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
豚
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