タイトル |
おうとうの垣根仕立てによる早期成園化と低樹高化 |
担当機関 |
山梨果樹試 |
研究期間 |
1995~2001 |
研究担当者 |
山内一恵
新谷勝広
猪股雅人
富田 晃
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発行年度 |
2001 |
要約 |
おうとうを垣根仕立てで栽培すると、Y字仕立てよりも早期成園化が可能で、植え付けから5年目で樹高3mの樹形がほぼ完成する。果実品質はY字仕立てと同等に高い。
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キーワード |
おうとう、垣根仕立て、早期成園化、低樹高化
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背景・ねらい |
開心形や変則主幹形に仕立てた従来のおうとう栽培は、成園に達するまでに約10年間を要した。また樹高が5~7mと高く、作業の効率や安全性の面で課題があった。このため、当場ではすでに樹高3.5mのY字仕立て栽培を開発し普及を図って、これらの問題点を改善した。ここでは新たに樹高3mを目標とした垣根仕立てを開発し、より一層の早期成園化と低樹高化について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 垣根仕立ての果実は、果実重、糖度、着色、酸含量ともにY字仕立てと、ほぼ同等の高品質なものである(表1)。また樹高はY字仕立てより低くなり、新梢管理によって3mに維持することができる(図1)。
- 垣根仕立ての収穫は4年目から始まる(図2)。目標とする樹形が完成した5年目に収量は著しく増加するが、その後の増加率は鈍化する。一方、Y字仕立ては6年目でも樹冠拡大が成園時の50%程度に留まる。
- 二種類の垣根仕立てを比較すると、果実品質に両者の差異は見られない。段違い平行整枝は平行整枝より多収であるが、骨格が複雑であり管理に手間が掛かるため、平行整枝の垣根仕立ての方が実用的である(表1)。
- 初期収量をあげるために、畝間3m×株間2mの密植で植え付けた。連年の夏季せん定と、密植による隣接樹との根群の重なり(データ省略)から、新梢の伸びは3年以降は落ち着いた(図3)。樹形完成後の樹冠上部の樹勢調節は、夏季せん定以外は必要なかった。
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成果の活用面・留意点 |
- おうとう栽培地域に適する。低樹高であるため観光摘みとり園での利用にも適する。
- 「佐藤錦」以外の品種については、新梢の基部に芽が着かないものもあるので品種適応性を検討する必要がある。
- 植え付けから樹形が完成する5年目までは、骨格を作るため誘引や夏季せん定などの新梢管理を徹底する。6年目以降も夏季せん定による新梢管理で平面的な構成を維持するが、樹勢が落ち着いてくるので結果枝の更新や樹勢の維持に留意する。
- 収量性の向上と樹形完成後の樹冠上部の維持方法が課題として残っている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
おうとう
早期成園化
低樹高
品種
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