製茶工場の生葉確保の実態調査から見た生葉農家の存続方策

タイトル 製茶工場の生葉確保の実態調査から見た生葉農家の存続方策
担当機関 埼玉県農林総合研究センター特産支所
研究期間 1999~2000
研究担当者 外島洋志男
梶浦 圭一
発行年度 2001
要約 埼玉県における製茶農家を対象に生葉確保の実態調査を行った結果、生葉品質を向上することで生葉価格が上昇する可能性が示唆された。摘採は適期に摘み、摘採位置を確認して木茎や古葉の混入を防ぐなど、収量より品質に重点を置いた生葉の確保を行う必要がある。
キーワード 製茶農家、生葉確保、生葉品質、生葉価格
背景・ねらい 狭山茶の生産は、茶園管理から製茶、販売までを一貫して行っている自園自製自販農家が中心である。また、茶園のみを持つ生葉売り農家も自園自製自販農家の生葉の確保には重要な役割を担っている。しかし最近では、生葉価格の低迷等から生葉農家の生産意欲が減少し、管理放棄茶園の増加や自園自製自販農家の将来的な生葉確保の不安等の問題が生じ、生葉農家を維持するための方策が求められている。そこで、県内茶産地の製茶農家を対象に生葉確保の実態調査を行い、生葉農家の存続のための方策に役立てる。
成果の内容・特徴
  1. 県内茶産地の製茶工場を持つ茶生産農家56戸を対象にアンケート調査を行った。
  2. 買い葉を行っている製茶農家は46.7%で、買い葉量は一番茶平均16,304㎏、二番茶平均13,094㎏であった。これは買い葉を行っている製茶農家の平均生葉処理量のうち、一番茶では61.7%、二番茶では78.1%を占めており、生葉を確保する手段として買い葉が重要な位置にある。
  3. 平成12年度に調査した一番茶の生葉の買い取り価格は1㎏あたり平均353.1円、最低213.1円、最高667.2円であった。
  4. 買い葉の品質について、「普通」であると考えている製茶農家が最も多く、次いで「やや良好」、「あまり良くない」との回答が多かった(図1)。また、買い葉に対する指摘として「木茎や古葉の混入が多い」という回答が多く、次いで「うま味が少ない」、「葉が硬化している」という順であった(図2)。
  5. 買い葉の価格評価については、「生葉の品質の良し悪し」を最も重視していた(図3)。
  6. 今後の買い葉量については、「現状維持」との回答が多く、次いで「増やしたい・条件によっては増やしたい」という回答だった。また、買い葉量を増やす条件としては「品質の良い生葉が供給される」、「摘採日が集中しない」の回答が目立った(図4)。
  7. これらのことから、生葉品質が価格評価に大きく影響することが分かった。摘採日を遅らせると収量は増えるが木茎や古葉の混入する割合が高くなる。そのため生葉品質が低下し価格評価を下げる原因になる。生葉の品質を向上し、価格評価を上げるためには、摘採を適期の範囲内で行い、摘採が遅れた場合は摘採位置を上げるなど極力木茎や古葉が混入するのを防ぐことが重要である。
成果の活用面・留意点
  1. 生葉農家に生葉品質向上促進を指導する際の基礎資料とする。
  2. この調査は、自園自製自販農家が生葉農家から生葉を購入する流通形態での実態調査である。

図表1 216551-1.gif
図表2 216551-2.gif
図表3 216551-3.gif
図表4 216551-4.gif
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