転換畑ダイズの収穫期における穀粒損失

タイトル 転換畑ダイズの収穫期における穀粒損失
担当機関 愛知農総試
研究期間 1999~2003
研究担当者 吉田朋史
城田雅毅
谷 俊男
中嶋泰則
内田利治
落合幾美
林 元樹
濱田千裕
釋 一郎
発行年度 2001
要約 愛知県のダイズ栽培では自然裂莢が一時期を境に急増する。しかし、その時点で一部の茎水分が大型汎用コンバインによる収穫で汚粒が出にくい適正な状態になっておらず収穫作業ができないほ場が多い。さらに、大規模経営では、麦播種との作業競合による刈り遅れによって自然裂莢損失と収穫時落下損失が合わせて平均30kg/10a以上と大きい。
背景・ねらい 愛知県のダイズの実収量は平均140kg/10aと低収である。その要因の一つとして農家には「一俵は捨てている」という収穫損失の経験的認識がある。これはコンバイン収穫を行うために茎水分が適正な状態になるまで待つことや、麦播種との作業競合のため刈り遅れが原因であろうと言われているが、その実態は不明確で育種、栽培、作業技術の開発に反映されていない。
そこで、愛知県のダイズ主要産地における大型汎用コンバイン収穫を前提とした自然裂莢と収穫作業時の損失を調査し損失原因を明らかにして作業技術や栽培技術改善資料を得る。
成果の内容・特徴
  1. 栽培品種はフクユタカであり、調査対象の作付け面積は10~30haが中心の大規模経営である。
  2. 自然裂莢損失+収穫時落下損失は2000年度は6.8~98.3(平均42.2)kg/10a(表1)、2001年度は15.4~65.0(平均33.9)kg/10a(表1)と変動はあるものの、平均単収に対して大きな値である。
  3. 自然裂莢は一時期を境に急激に増加する(図1)。
  4. 培土高6.5~15.0cmの範囲における刈り残し損失は平均3.7kg/10a(表1)と少ない。このことから培土のコンバイン収穫への影響は小さい。
  5. 多くのほ場において茎水分にはバラツキがあり、自然裂莢が増加し始める時点で茎水分が高い個体は汚粒を出さない目安とされる50%を下回っていないことが多く(図1)、収穫作業の開始が遅れる。
  6. 損失は収穫時落下損失の方が自然裂莢損失より多い。収穫が遅れれば両損失とも増加するが、増加率は自然裂莢損失の方が大きい(図2)。収穫適期には麦播種との作業競合があり、損失が多いほ場は少ないほ場と比較すると刈り遅れになっている(図2)。このことが損失に拍車をかけている。
  7. 収穫直前の茎水分のバラツキを損失の少ないほ場と多いほ場で比較すると、損失の少ないほ場の方が小さく(図3)成熟の均一性が高く、収穫作業が早くできる。
成果の活用面・留意点
  1. 適応地は愛知県の主要産地である西三河である。
  2. 成果は、(1)収穫適期において茎水分が斉一的になる栽培管理技術の確立、(2)茎水分が高い個体においても汚粒を出さない収穫機の改善、(3)産地において成熟が早く自然裂莢しにくい品種の選定・育種、(4)大規模経営においてより効率的な作業技術体系の確立、これらの改善技術確立の資料とする。
図表1 216592-1.gif
図表2 216592-2.gif
図表3 216592-3.gif
図表4 216592-4.gif
カテゴリ 育種 栽培技術 収穫機 大規模経営 大豆 播種 品種

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