タイトル |
干柿のフィルム密封包装と低温による品質保持 |
担当機関 |
長野県農総試 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
矢崎明美
|
発行年度 |
2001 |
要約 |
干柿(市田柿)は、酸素透過度が6~60ml/m2・24h・atm(20℃)、水蒸気透過度が6~7g/m2・24h・atm(90Rh・40℃)程度のナイロン系などのハイバリアーフィルムで密封包装し、10℃以下の低温で貯蔵すると、60日程度は良好な品質が保持できる。
|
キーワード |
干柿、長期貯蔵、ハイバリアーフィルム、密封包装、低温管理
|
背景・ねらい |
県南部の特産品である市田柿(干柿)は、健康食品としての評価が高まっていることもあり、生産量が増加している。このため、これまで主流であった年内販売に加え、年明けの消費拡大を図る必要がある。市田柿は、長期貯蔵した場合、果肉の硬化、白粉の消失(もどり)、カビの発生等により、品質低下が起こる。そこで、品質保持資材、フィルム包装、低温貯蔵の組み合わせにより、60日程度の長期貯蔵を可能にする貯蔵方法を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- 5℃貯蔵のナイロンフィルム密封包装は、60日後でも外観の変色がほとんどなく、食味も良好で、品質保持は出荷用パックより優る。ポリエチレンフィルム、好透湿性フィルムは、外観の変色程度、食味評価が出荷用パックよりやや劣る(データ省略)。
- 20℃貯蔵では、非密封(出荷パック)、密封(KON)のいずれの包装形態も貯蔵20日の時点で、干柿の表面が湿潤状態となり、白粉消失してカビが発生する(表1)。
- ハイバリアーフィルム(KON、KOP、PNP)で密封包装した干柿は、5℃および10℃の貯蔵ともに、60日後においてもカビの発生がなく、白粉の状態、干柿の表面、果肉の変色がほとんどなく食味も良好に保持される。一方、非密封形態の出荷用パック、化粧箱は白粉の消失やカビの発生により、品質が大きく低下する(表1)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 包装時には脱気しながら密封する。脱気は干柿が変形しない程度とする。
- 脱気するので包装内の残存酸素は少ないが、いずれのフィルムも若干酸素が透過するので、カビ、変色の防止対策として、念のため干柿1kg包装あたり空気量1,500cc用の脱酸素剤を封入する。
- 貯蔵温度が20℃前後になると、フィルム内が蒸れて、白粉の消失やカビの発生により、貯蔵可能期間が10日以下に短縮する恐れがあるので、5~10℃の低温で貯蔵する。
- 本結果は、60日程度の長期貯蔵を目的としたものであるが、無貯蔵品の出荷後における品質保持にも有効である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
出荷調整
消費拡大
長期保存・貯蔵
品質保持
良食味
|