タイトル |
RT-PCR法を用いたサツマイモ斑紋モザイクウイルス検定法 |
担当機関 |
千葉農総研 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
鈴木 健
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発行年度 |
2001 |
要約 |
RT-PCR法を用いた検出法によってサツマイモ斑紋モザイクウイルス感染の有無を判定できる。本法は生物検定法やELISA法に比べて高い検出感度が得られ、夏期高温期でもウイルス検定が実施できる。
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キーワード |
カンショ、ウイルス検定、RT-PCR、SPFMV、RNA抽出
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背景・ねらい |
サツマイモウイルスフリー苗生産に伴うウイルス検定は、指標植物を用いた生物検定法を用いているが、手法が煩雑で、問題点も多い。高感度で短時間に検出可能な遺伝子増幅法(RT-PCR法)によるサツマイモ斑紋モザイクウイルス(SPFMV)の検出法を開発し、種苗生産現場でのウイルス検定法として確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 千葉県内に発生しているSPFMVには遺伝子レベルで数種の系統がある。独立行政法人九州沖縄農業研究センター病害遺伝子制御研究室がデザインしたMtvプライマーは、供試したSPFMVすべての系統から約1.3kbpのcDNAを増幅できる(表1)。
- SPFMVは感染した植物体内で偏在している。検定試料には、比較的ウイルス濃度が高く採取が容易な塊根のなり首部分または展開下位葉を用いる(表2)。
- RT-PCRによるSPFMV検出を以下の条件で行うことで、高い検出感度が得られる。
- 新鮮または冷凍保存した試料0.02~0.1gをAGPC法により抽出精製し、500μlの純水で再溶する。
- RT-PCRの反応温度設定は、逆転写反応は、42℃で20分間、その後95℃5分間とする。PCRは、94℃2分間前処理の後、94℃1分間、55℃1分30秒間、72℃2分間の処理を1サイクルとし、30サイクル行う。
- RT-PCR反応終了後PCR産物の分子量を推定するため、1%アガーロースゲル電気泳動を行う。DNAの染色はエチジウムブロマイドを用い、260nm紫外線照射下で約1.3kbpのPCR産物の有無を観察する。
- 検定には、感染の確認されたポジティブコントロール及び感染していないネガティブコントロールを組み込み、その結果と比較して判定する。
- RT-PCR法は生物検定法やELISA法に比べ高い検出感度が得られ、より精度の高いウイルス検定ができる。また、生物検定法が適用できない高温期でも検出が可能であり、年間を通じてウイルス検定を実施できる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 感染株であっても採取部位によっては検出が不可能な部位がある。上位葉や蔓先端部の使用はさける。
- 核酸を数十万倍に増幅させる技術のため、試料のコンタミネーションには極力注意を払う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
かんしょ
生物検定法
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