“早生湘南レッド”細胞質雄性不稔系統を識別するDNAマーカーの開発

タイトル “早生湘南レッド”細胞質雄性不稔系統を識別するDNAマーカーの開発
担当機関 神奈川農総研
研究期間 1996~2001
研究担当者 大矢武志
発行年度 2001
要約 赤タマネギ固定品種‘早生湘南レッド’の集団選抜によって得られた細胞質雄性不稔(CMS)系統のミトコンドリア(mt)DNAの構造解析に基づいて,CMSと可稔(Ft)系統を識別できるDNAマーカーを開発する。
キーワード 早生湘南レッド、細胞質雄性不稔、ミトコンドリアDNA、DNAマーカー
背景・ねらい 小花の密生するタマネギにおいて、F1育種には雄性不稔系統の利用が不可欠である。‘早生湘南レッド’に代わる甲高・早生の生食用赤タマネギF1品種を育成するため、‘早生湘南レッド’を材料に、F1育種の母親系統に利用できるCMS及びFt系統を早期かつ効率的に選抜できるDNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. ‘早生湘南レッド’のCMS及びFt系統から調製したmtDNAを鋳型にしたRAPD解析により、両系統間に明確な多型が認められる(図1)。
  2. 多型断片の内部に設計したプライマーA21-F及びA21-Rを用いたPCRにより、CMS系統特異的なDNA断片(A)およびFt系統特異的断片(B)が得られる(図2)。
  3. CMS系統特異的なDNA断片(A)はFt系統特異的断片(B)を含む断片(C)から1.3kbpのDNA断片(Ins1300)が欠落している(図3)。
  4. CMS系統にも同じ配列がFt系統とは別の部位に存在することがIns1300特異的プライマーを用いたInverse-PCRにより確認できる(図3)。
  5. Ins1300とその挿入部位の違いを基にして設計した3種類のプライマー(CMS-F、Ft-F、com-R)を用い、mtDNA及び全(total)DNAを鋳型にしたマルチプレックスPCRにより、いずれにおいてもCMS及びFt系統間を明確に識別できる多型が検出される(図4)。
  6. 今回作成したCMS-F、Ft-F及びcom-Rを用いたマルチプレックスPCRで増幅されるDNA断片をCMS/Ft系統判別マーカー「WSR-CMS/Ft」と命名し、CMS及びFt系統の効率的な選抜に利用する。
成果の活用面・留意点
  1. 全DNAを鋳型にしたマルチプレックスPCRを用いて、有望な形質を有するCMS及びFt系統を幼苗の段階で早期に選抜・維持することにより、効率的なF1品種育成を進める。
図表1 216601-1.gif
図表2 216601-2.gif
図表3 216601-3.gif
図表4 216601-4.gif
カテゴリ 育種 たまねぎ DNAマーカー 品種

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