エレクトロポレーション法による除草剤耐性ベントグラスの作出

タイトル エレクトロポレーション法による除草剤耐性ベントグラスの作出
担当機関 千葉農総研
研究期間 1994~1998
研究担当者 伊東靖之
丸諭
児嶋正敏
深見正信
藤家梓
発行年度 2001
要約 エレクトロポレーション法による芝草(ベントグラス)への遺伝子導入条件を検討し、バッファーの最適pH値やパルス幅等を明らかにした。その条件を用いて「チバグリーンB-2」等へbar遺伝子を導入し、除草剤耐性を示す形質転換体を作出した。
キーワード 芝草、エレクトロポレーション、bar遺伝子、高pH、除草剤耐性
背景・ねらい ゴルフ場での無農薬管理技術の確立を目指して、組換えDNA技術を用いた芝草(ベントグラス)の組換え体の作出に取り組んでいる。その一環として有用遺伝子を導入した形質転換体を安定的に作出するため効率的な遺伝子導入条件を確立し、選抜マーカーとしても利用できるbar遺伝子を導入した形質転換体を作出する。
成果の内容・特徴
  1. ベントグラス(品種:「ペンクロス」)のプロトプラスト培養系を用いて、エレクトロポレーション法における導入条件をGUS遺伝子の発現によって比較すると、用いた機種ECM-600(BTX社)での電気的条件を、電界強度550V/cm、静電容量2750μF、抵抗値720Ωとし、電極間を4mmに修正したチャンバー191BC(盟和商事)に充填するプロトプラストとDNAの混合液量を2.5mlとした場合、導入効率およびプロトプラストの生存率が最も高い。この時のパルス幅は39~40msecである(表1)。
  2. 導入に用いるバッファー液はアスパラギン酸バッファーの効果が高く、添加するカルシウムをグルコン酸CaからCa(NO3)2に換え、さらにpHを高めることで導入効率を向上できる。最適値はpH 9.0である(図1)。
  3. 上記の方法を用いて獲得したビアラホス耐性遺伝子(bar)を導入した形質転換体に対する除草剤ビアラホス剤(1.0%)散布2週間後の結果は、非組換え体がほぼ枯死状態となる。これに対して、組換え体では強弱はあるが、いずれの系統も耐性を有する。また、散布後の葉内アンモニア発生量は、散布試験で強い耐性を示した系統は明らかに少ない
    (図2)。一方、比較的弱い系統では、3日後のアンモニア発生量は非組換え体と同程度で多いが枯死せず、その後回復する。
  4. 同様にして耐病性ベントグラス「チバグリーン B-2」についても、除草剤散布に対して耐性を示す系統を獲得することができる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 除草剤耐性の形質転換体を農薬を低減した芝草管理技術に活用する。
  2. ベントグラスについて確立した培養技術および遺伝子導入技術を、今後の各種形質転換体の作出に活用する。
  3. 形質転換体を実用化するにあたっては、文部科学省,農林水産省の定めたガイドラインに従った安全性審査の評価を実施しなければならない。
図表1 216603-1.gif
図表2 216603-2.gif
図表3 216603-3.gif
図表4 216603-4.jpg
カテゴリ 病害虫 管理技術 除草剤 農薬 品種

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