生分解性フィルムを利用した施設トマトのセル成型苗直接定植

タイトル 生分解性フィルムを利用した施設トマトのセル成型苗直接定植
担当機関 埼玉農総研
研究期間 1998~2001
研究担当者 塚澤 和憲
発行年度 2001
要約 施設トマトのセル成型苗の直接定植を行う場合、生分解性フィルムによる簡易な根域制限(隔離床栽培)と養液土耕装置を利用した養水分管理により容易に初期生育を制御することが可能であり、慣行苗を定植した場合とほぼ同程度の収量・品質を確保することができる。
キーワード トマト、セル成型苗、直接定植、養液土耕
背景・ねらい トマトの施設栽培ではセル成型苗の利用が増加していることから、セル成型苗を直接定植しても草勢を容易にコントロールでき、高い収量と品質が得られる栽培管理技術の開発が生産現場から要望されている。そこで、トマトの促成栽培の省力化と品質安定を目的に生分解性フィルム等を利用した簡易隔離床栽培と養液土耕装置による肥培管理を組合わせた省力的な高品質栽培管理技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. セル成型苗を直接定植した場合、茎葉の生育は慣行苗定植に比べ旺盛となり、総収量は高まるものの上物率が著しく低下する。これを制御するために、セル成型苗を生分解性フィルムをベット面下15cmの位置に幅30cmで埋設した簡易隔離床(株当たり土量10l)に定植することによって生育初期の根域を制限することで、茎葉の初期生育を抑制し、慣行苗定植と同等の生育を確保することが可能である。この制御法により、無隔離で栽培した場合に比べ20~30%程度上物収量が増加し、慣行定植苗と同程度の品質・収量が得られる(図1)。
  2. 簡易隔離床栽培に使用する資材は、0.2mm程度のタルク含有脂肪族ポリエステル樹脂製生分解性フィルムが実用的で、厚手のものが薄手のものより崩壊が遅く、生育初期における根域制限の効果が高い(図2、3)。
  3. 生分解性フィルムを使用した簡易隔離床栽培における養液土耕装置による水分管理は、多潅水管理(pF1.8を目標に管理)より少潅水管理(pF2.3を目標に管理)で上物収量が高まり、果実の糖度や硬度などの品質の向上が可能である。一方、防根透水シートを使用した場合には、少潅水管理では収量低下を招きやすい(図2、4)。
成果の活用面・留意点
  1. 地下水位の影響を受けやすい沖積土壌地域で特に活用できる。
  2. 生分解性フィルムは10a当たり20万円程度を必要とするが、慣行のセル成型苗の二次育苗でも育苗用施設・資材費や管理労賃などで9~10万円の費用を必要とするので、極端なコスト増にはならない。
  3. 防根透水シートには栽培後期の生育・収量低下、栽培終了後の後かたづけの問題があるが、生分解性フィルムにはこれらの問題がない。
図表1 216611-1.gif
図表2 216611-2.gif
図表3 216611-3.gif
図表4 216611-4.gif
カテゴリ 育苗 コスト 栽培技術 施設栽培 省力化 トマト 肥培管理 水管理

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