コンニャク葉枯病の発病を抑制する葉面付着水中の銅濃度境界値と銅濃度簡易測定

タイトル コンニャク葉枯病の発病を抑制する葉面付着水中の銅濃度境界値と銅濃度簡易測定
担当機関 群馬県農業試験場
研究期間 2001~2005
研究担当者 柴田 聡
小柴 守
発行年度 2001
要約 コンニャク葉枯病の発病を抑制する銅量は、調製した葉面付着水における銅濃度で測定・比較でき、その発病抑制境界値は1μg/mlである。また、葉面付着水中の銅濃度を簡易に測定する方法として、市販の水質検査キットが利用可能である。
キーワード コンニャク、葉枯病、葉面付着水、銅濃度、発病抑制境界値、簡易測定
背景・ねらい 群馬県のコンニャク栽培は長期の連作を行っており、ボルドー液の散布も多数回であることから、土壌における銅蓄積が問題となっている。また、葉枯病の防除において、発生してからのボルドー液散布では、十分な効果が得られない場合がある。そのため、効果的で無駄のない防除の実施を支援するシステム開発が必要である。そこで、ボルドー液散布株において、葉面付着水を調製し、その中に溶出してくる銅濃度と発病との関係を検討し、管理目標の基礎となる銅濃度における発病抑制境界値を設定する。また、併せて簡易に銅濃度を測定する方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 葉面に噴霧器で水を十分量流れ落ち始めるまで均一に噴霧し、小葉柄を軽く扇状に左右10回振った後に、葉上に残存した水を葉面付着水とする。このとき、小葉面積と葉面付着水重との間に正の相関関係があり、測定対象の小葉柄の大きさや傾きにとらわれず、採取した葉面付着水を対象に、非破壊且つ実用的な範囲で銅の濃度比較ができる(図1)。
  2. 濃度の異なるボルドー液を散布した株における、調製した葉面付着水の銅濃度と発病との関係で、1μg/ml以上の銅濃度は、発病を安定して抑制する(図2)。また、葉枯病菌の生育を安定して抑制する葉面付着水における銅濃度は0.88μg/ml以上である(表1)。これらから、葉面付着水における発病抑制銅濃度境界値を1μg/mlとする。葉面付着水の採取は、付着水を調製後、1時間以上小葉をビニール袋で覆い放置し、その後小葉をやや強く振って、葉面付着水をビニール袋内に集める。
  3. 市販の水質検査キット(銅イオン用)により、3μg/ml以下の銅濃度をほぼ正確に測定できる(図3)。なお、ビニール袋内の葉面付着水を直接測定する場合は、ビニール袋内に採取してから1時間以内に測定し、試験紙を被検液に浸漬後は、直ちに1分間水平に保ち、呈色指標と比較して10分以内に判定する。
成果の活用面・留意点
  1. ボルドー液を散布した株における銅の推移および防除効果との関係が容易に検討できる。
  2. ビニール袋被覆を長時間行う場合は、温度上昇による葉焼けの発生を避けるため、設置する時間帯を考慮する。
  3. 水質検査キットによる銅濃度の簡易測定において、葉面付着水の葉上での直接測定はばらつきが多く、不正確である。
  4. 0.5μg/ml以上の鉄イオンの存在下では、水質検査キットによる銅濃度測定が正確にできない。また、測定条件として、30℃以上の葉面付着水の測定には、被検液に1秒間、それ以下では5秒間試験紙を浸漬する。
図表1 216657-1.gif
図表2 216657-2.gif
図表3 216657-3.gif
図表4 216657-4.gif
カテゴリ 病害虫 簡易測定 こんにゃく 防除

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